カスタマーハラスメント対策のメリット
<厚生労働省の聞き取り調査>
厚生労働省は、カスタマーハラスメント対策について、多くの聞き取り調査を行い、集計・分析してまとめた資料を公表しています。
こうした資料によると、カスタマーハラスメント対策のメリットとして、企業から次のような声が集まったそうです。
- 業務への影響
・複数名で状況を把握できるようになり、迷惑行為を迅速に確認し、対応できるようになった。
・対応方法を明示することで、従業員が働きやすくなった。
・顧客対応のノウハウが整理でき、経験を培うことができた。
・顧客対応に関連する訓練、研修の受講後は、落ち着いて対応できるようになった。
- 従業員への影響
・職場環境が明るくなった。
・笑顔が出るようになった。
・会社としてカスタマーハラスメントに対する姿勢を示したことで、従業員の安心感が生まれた。
- 職場環境への影響
・会社にとって好ましくない客が、来にくくなった。
・迷惑行為をする人が少なくなり、職場環境が良くなった。
・職場環境が良くなったことで、離職者が減った。
<お客様への影響>
厚生労働省の聞き取り調査では、業務、従業員、職場環境への影響について分析が行われています。
しかし、カスタマーハラスメントはお客様が行うものですから、電話やメールなどによるものを除き、他のお客様の目につきやすい場所で行われるのが通常です。
極端な架空の例ではありますが、令和時代の今、あるお店に入ったところ、店員が泣きながら土下座している姿を見てしまったらどうでしょう。その日に限らず、二度とそのお店を利用したくなくなるのではないでしょうか。
こうしたことは、まだカスタマーハラスメント対策が進んでいない平成時代の中頃には、コンビニなどで実際に発生し、その様子が報道されていました。
カスタマーハラスメント対策が行われていないお店には、お客様が入りにくく、対策の進んでいるお店は安心して利用できるのではないでしょうか。
<実務の視点から>
カスタマーハラスメント対策に積極的に取り組むことによって、従業員が働きやすくなり生産性が向上するだけでなく、お客様が利用しやすくなり売上も向上するということです。
他の企業に遅れを取ることなく、対策を推進していただきたいと思います。
2025年3月5日
社会保険労務士 柳田 恵一
給与・勤怠・労務システムに関するご相談はこちら