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【監修あり】退職の際の会社の手続の流れは?保険や税金の手続を解説します。 

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さて、退職者が出た場合、会社はどのような手続が必要となるのでしょうか。 

健康保険、厚生年金保険、雇用保険など、社会保険の手続は、個人的な事情によって内容が異なるものもあります。 

また、所得税・住民税の手続も必要です。 

さらに、退職者から回収するものもあれば、交付するものもあります。 

手続に追われて、退職者へのご案内を怠っては不親切なので、これも忘れてはなりません。 

それでは、必要なことをまとめて見ていきましょう。 

 

<退職手続の全体の流れ> 

退職手続には、事務的なことだけでなく、事実的な行為もあります。時期的には、最終出勤日までの期間、その後退職日までの期間、退職後の期間に分かれます。スケジュール表やチェックリストを作成し、退職者本人にも渡しておくと安心です。 

 

●最終出勤日までの期間

  • 退職願(退職届)の提出。ただし、会社都合による退職では提出しません。 
  • 退職予定者への退職関連手続の説明 
  • 年次有給休暇の取得の調整 
  • 引継ぎの完了 
  • (あれば)退職金の準備 

 

●その後退職日までの期間

  •  貸与物の返却(健康保険被保険者証社員証、社章、名刺制服、作業着資料、マニュアル、携帯電話、ノートパソコンなど) 

 

 ●退職後の期間

  • 健康保険被保険者証の返却 
  • 社会保険の資格喪失届 
  • 健康保険被保険者資格喪失確認通知書のコピー(資格喪失証明書)の交付 
  • 離職証明書(離職票の交付 
  • 源泉徴収票の交付 
  • 住民税の手続 
  • (希望があれば)退職証明書の交付 

年金手帳や雇用保険被保険者証は、本人保管が原則ですが、万一会社が預かっていたら、年金手帳は速やかに、雇用保険被保険者証は離職証明書の交付と共に返却すれば良いでしょう。 

 

<退職時に会社が行う社会保険・雇用保険の手続> 

 社会保険・雇用保険に加入している従業員が退職する場合には、その資格を失わせる手続が必須となります。 

 

●社会保険の脱退手続

社会保険(厚生年金保険・健康保険)の脱退は、法律用語では資格喪失と言います。健康保険証が退職日当日まで使えることからも分かるように退職日の翌日が資格喪失日ということになります。 

 

具体的な手続としては、健康保険・厚生年金保険被保険者資格喪失届を記入し、資格喪失日の翌日から5日以内に所轄の年金事務所に提出するか、事務センターに郵送します。 

健康保険証は、協会けんぽや健康保険組合などの保険者に返納することになります。 

 

健康保険・厚生年金保険被保険者資格喪失届 

出典:日本年金機構ホームページ 従業員が退職、死亡したとき 

https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/todokesho/hihokensha/20140722.files/0000020841WmioE6Jhw7.pdf 

 

健康保険の任意継続に関する注意点 

健康保険に入っていた従業員が退職したときは、次のいずれかに加入する手続が必要です。 

1.任意継続健康保険 

 加入していた健康保険の保険者(協会けんぽなど)が窓口です。 

2.国民健康保険  

 お住まいの市町村の国民健康保険担当窓口で手続します。 

3.家族の健康保険の扶養家族(被扶養者) 

 家族が加入する健康保険の保険者(保険証に書いてあります)にお尋ねください。 

 

任意継続健康保険は、一定条件のもとに個人の希望(意思)により、個人で継続して加入できる制度です。任意継続の保険料は、退職時の標準報酬月額に基づいて決定され、保険料は原則2年間変わりません。また、扶養家族(被扶養者)の保険料はかかりません。 

 

国民健康保険の保険料(保険税)は、国民健康保険の世帯人員数や前年の所得などに応じて決定されます。また、会社都合での退職の場合などには、保険料の減免制度があります。さらに、市町村によって保険料(保険税)の算定方法が異なります。 

 

任意継続にするか、国民健康保険に加入するかは、保険料との兼ね合いで決めるのが原則です。世帯単位での所得を確認する必要がありますから、従業員自身で居住する市町村の国民健康保険担当窓口に問い合わせてもらうことになります。 

 

健康保険の任意継続では、傷病手当金と出産手当金を除き、原則として在職中に受けられる保険給付と同様の給付を受けることができます。 

※傷病手当金と出産手当金は、任意継続の加入とは関係なく、在職中からの継続給付の要件を満たす場合に限り給付対象となります。 

 

退職者が任意継続を選択した場合には、ご自身で退職後20日以内に手続することが必要です。この締切は厳格ですので、注意が必要です。 

こうしたことから、退職後の健康保険の選択と手続については、退職者に早めに説明しておくことをお勧めします。 

 

●雇用保険の脱退手続 

雇用保険の脱退(資格喪失)手続は、資格取得の手続のときにハローワークで交付された「雇用保険被保険者資格喪失届に必要事項を記入し、退職日から10日以内にハローワークに提出します。 

 

このとき、原則として離職証明書(離職票)も作成して提出します。離職者用は退職者に交付し、事業主用は会社で保管します。退職者が不要である旨を申し出れば、作成しなくても良いのですが、59歳以上の場合には必ず作成することになっています。 

 

<退職時の税金関連の手続> 

社会保険の手続とともに重要なのが、税金関連の手続です。所得税と住民税とでは、必要な手続が異なります。 

 

●所得税の手続

会社は源泉徴収により、従業員の給与から所得税を控除しています。この内容に従い、源泉徴収票を発行します。 

源泉徴収票には、所得税の他、退職する年の1月1日から退職日までに支払った給与・賞与、社会保険料などが記載されています。 

源泉徴収票は退職後1か月以内に従業員へ交付することが法定されています。〔所得税法第226条〕 

 

●住民税の手続

住民税は、1年間の所得に応じて、翌年6月~翌々年5月まで後払の形で徴収されます。特別徴収であれば、会社が給与から控除して従業員が居住する市町村に納付しています。 

特別徴収を行っている場合、「給与支払報告に係る給与所得異動届書」を従業員の居住する市町村に退職日の翌月10日までに提出します。 

 

住民税については、退職時期によって次のように対応が分かれます。 

1~4月に退職:5月までの住民税を一括徴収 

5月に退職:通常どおり給与から控除 

6~12月に退職:普通徴収に切替え 

 

<退職する従業員から回収すべきもの> 

従業員に貸与している形のものは、従業員に返却を求め、確実に回収しなければなりません。 

 

●貸与品や業務資料の回収

社員証、社章、名刺、制服、作業着、資料、マニュアル、携帯電話、ノートパソコンなど、職場によって品目が異なります。 

一覧表を作成して、退職予定者に交付しておき、漏れがないようにしましょう。 

 

●健康保険証や年金手帳の回収

健康保険証は、退職日当日まで使うことができます。このため基本的には、退職日の翌日以降に回収するのが原則です。 

年金手帳(基礎年金番号通知書)は、従業員が個人の責任で保管するものです。同じ社会保険ということで、うっかり回収しないようにしましょう。 

 

<退職する従業員に渡すもの> 

退職する従業員に渡すものとしては、次のものが挙げられます。それぞれ性質が異なりますので、ここで確認しておきましょう。 

  • 健康保険被保険者資格喪失確認通知書のコピー(資格喪失証明書 
  • 離職証明書(離職票) 
  • 源泉徴収票 
  • 退職証明書 

 

●健康保険被保険者資格喪失確認通知書のコピー(資格喪失証明書)

 これは、退職者が次の健康保険の手続をするにあたって、会社の健康保険から脱退(資格喪失)したことを証明するために使います。 

会社が健康保険の資格喪失届を提出し、その控えのコピーを交付することも行われますが、退職した従業員は早く手続を進めたいですから、会社オリジナルのフォーマットで資格喪失証明書を作成して交付することもあります。 

 

●離職証明書(離職票)

会社がハローワークに資格喪失届を提出すると、退職者用の離職票や「離職された皆様へ」といった資料を渡されます。これを退職者に渡すことになります。 

 

●源泉徴収票

 源泉徴収票は退職後1か月以内に従業員へ交付することが法定されています。退職者は、これを転職先に提出を求められるなどしますので、なるべく早く交付するように心がけましょう。 

 

●退職証明書

 退職証明書は、退職(予定)者から求められた場合に作成・交付します。このとき、本人から要望のあった項目だけを記載することになっています。 

退職者は、在籍期間の重複などがないことを証明するため、転職先に提出するなどします。 

 

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 以上見てきたように、退職者が出た場合には、健康保険、厚生年金保険、雇用保険所得税住民税といった手続業務が一気に増えることになります。 

こうした手続には、それぞれに期限がありますから、後回しにはできません。 

それだけに、昔ながらの手書きの書類を作成していたのでは、他の業務に支障をきたす恐れがあります。 

幸いなことに、ほとんどの手続では電子申請が可能となっていますし、国が「電子政府」という政策を推進していますので、今後も電子化が進んでいくことになります。 

 

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2024年2月13日

社会保険労務士 柳田 恵一

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