雇用保険の加入手続漏れ
<雇用保険の資格取得>
雇用保険の加入資格(被保険者資格)を取得した従業員について、会社は翌月10日までに手続を行います。
資格取得手続を行うと資格を取得するというのではなく、条件を満たすと資格を取得することになり、会社が手続をする義務を負うということです。
<2年間の消滅時効期間>
雇用保険料の支払い漏れがあった場合、本来の支払日から2年を経過すると、国は保険料を徴収できなくなります。
これは、国の保険料徴収権が2年間で時効消滅するからです。
加入者(被保険者)の立場から見ると、2年以上前の保険料は、支払うことができないことになります。
このことから、従業員が雇用保険の被保険者資格を取得してから2年を経過すると、2年より前に遡っての資格取得手続はできないということになります。
また、2年以内であっても、資格取得の日から6か月を経過してからの手続に当たっては、「遅延理由書」「雇用契約書」「労働者名簿」「賃金台帳」などの添付を求められます。
必要な添付書類については、所轄のハローワークに確認したうえで準備しましょう。
こうしたケースでは、労働保険年度更新で雇用保険料の納付漏れが発生していることも多いでしょう。
この場合には、「訴求被保険者資格取得に関する賃金支払額報告書」を作成し、所轄の労働局労働保険徴収課に提出し、労働局から交付される納付書によって納付します。
<時効の特例>
従業員の雇用保険料が、給与から控除され続けていたにもかかわらず、資格取得手続が行われていなかった場合には、2年より前に遡っての資格取得手続を行うことができます。
この場合には、雇用保険料の給与控除を証明するための、「給与明細書」「源泉徴収票」などの添付が必要です。
ここで必要な添付書類についても、所轄のハローワークに確認したうえで準備しましょう。
<雇用保険加入状況の確認>
「雇用保険適用事業所情報提供請求書」の書式をネットでダウンロードして印刷し、必要事項を記入して所轄のハローワークに提出すれば、全被保険者(喪失済含む)の一覧表を交付してもらえます。
これによって、資格取得手続の漏れ、資格喪失手続の漏れをチェックすることができます。
年1回、これで手続漏れをチェックしてはいかがでしょうか。
2023年11月06日
社会保険労務士 柳田 恵一
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