リソースページへ戻る

雇い止めを検討するにあたっての隠された確認事項

人事情報お役立ちブログ(毎週更新) 人事管理関連

<雇い止めとは>

会社がパートやアルバイトなど有期労働契約で雇っている労働者を、期間満了時に契約の更新を行わずに終了させることを「雇い止め」といいます。 

一定の場合に「使用者が(労働者からの契約延長の)申込みを拒絶することが、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないときは、使用者は、従前の有期労働契約の内容である労働条件と同一の労働条件で当該申込みを承諾したものとみなす」という抽象的な規定があります。〔労働契約法第19条〕 

これは、数多くの裁判の積み重ねによって作られた「雇い止めに関する法理」という理論を条文にしたものです。ですから、雇い止めがこの理論による有効要件を満たしていなければ、裁判では無効とされ、有期労働契約が自動的に更新されることになります。 

 

<雇い止めの有効性の判断要素>

雇い止めは、次のような事情が多く認められるほど、有効と判断されやすくなります。 

1.業務内容や労働契約上の地位が臨時的なものであること。 

2.契約更新を期待させる制度や上司などの言動が無かったこと。 

3.契約更新回数が少ないこと、また、通算勤続期間が短いこと。 

4.他の労働者も契約更新されていないこと。 

5.雇い止めに合理的な理由が認められること。 

 

<契約更新の期待>

上記2.については、「当該労働者において当該有期労働契約の契約期間の満了時に当該有期労働契約が更新されるものと期待することについて合理的な理由があるものであると認められる」場合には、「使用者が(労働者からの契約延長の)申込みを拒絶することが、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないときは、使用者は、従前の有期労働契約の内容である労働条件と同一の労働条件で当該申込みを承諾したものとみなす」という規定があります。〔労働契約法第19条第2号〕 

そして、上記2.のうち、契約更新を期待させる制度の有無は、かなり客観的に判断することが可能です。 

しかし、契約更新を期待させる上司などの言動の有無については、必ずしも把握が容易であるとはいえません。 

たとえば、店舗で勤務しているアルバイトに対して、店長が「来期もこのまま働いていただきたい」と言ったのであれば、このような言葉をかけた事実は容易に把握できるでしょう。 

ところが、社長や取締役などが店舗を訪れた際に、アルバイトに「頑張ってるね。長く働いてくださいね」などと言った事実は、把握するのがむずかしいかもしれません。 

 

<雇い止めを検討するにあたっての確認事項>

上記で述べた雇い止めの有効性の判断要素は、ほとんどすべてが会社側で客観的に把握できる事実です。 

しかし、契約更新を期待させる上司などの言動の有無だけは、有期契約労働者本人に聞いてみないと分かりません。 

雇い止めを検討するのであれば、本人に契約更新に対する期待の有無を確認し、期待しているのであれば、なにか期待させるような事実があったのかを確認して、あるというのであれば、そうした事実の有無を確認したうえで対応しなければなりません。 

そして、こうした手間のかかることや、不都合が発生しないようにするため、社長以下影響力の大きな皆さんには、契約更新について期待を抱かせるような発言をしないよう徹底することをお勧めします。 

 

【労働契約法第19条:有期労働契約の更新等】

有期労働契約であって次の各号のいずれかに該当するものの契約期間が満了する日までの間に労働者が当該有期労働契約の更新の申込みをした場合又は当該契約期間の満了後遅滞なく有期労働契約の締結の申込みをした場合であって、使用者が当該申込みを拒絶することが、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないときは、使用者は、従前の有期労働契約の内容である労働条件と同一の労働条件で当該申込みを承諾したものとみなす。 

一 当該有期労働契約が過去に反復して更新されたことがあるものであって、その契約期間の満了時に当該有期労働契約を更新しないことにより当該有期労働契約を終了させることが、期間の定めのない労働契約を締結している労働者に解雇の意思表示をすることにより当該期間の定めのない労働契約を終了させることと社会通念上同視できると認められること。 

二 当該労働者において当該有期労働契約の契約期間の満了時に当該有期労働契約が更新されるものと期待することについて合理的な理由があるものであると認められること。 

 

2025年4月4日

社会保険労務士 柳田 恵一

給与・勤怠・労務システムに関するご相談はこちら