海外で治療を受けたとき(海外療養費)
<海外療養費制度>
海外旅行中や海外赴任中に、急な病気やけがなどにより、やむを得ず、現地の医療機関で診療等を受けた場合、申請により医療費の一部払い戻しを受けられる海外療養費制度があります。
健康保険加入者(被保険者)や扶養家族(被扶養者)が、申請書等を保険者に提出し、保険者が海外療養費の審査を行って、その結果を加入者(被保険者)に通知します。
<給付範囲の限定>
海外療養費の支給対象となるのは、日本国内で保険診療として認められている医療行為に限られます。
このため、次の場合には支給対象とはなりません。
- 美容整形やインプラントなど、日本国内で保険適用となっていない医療行為や薬が使用された場合
- 療養(治療)が目的で海外へ渡航し診療を受けた場合
- 日本で実施できない診療(治療)を行った場合
<支給額>
日本国内の医療機関等で、同じ傷病を治療した場合に、必要となる治療費が基準となります。ただし、実際に支払った額の方が低いときはその額が基準となります。ここから、自己負担相当額(患者負担分)を差し引いた額が支給されます。
日本と海外では、医療体制や治療方法等が異なるため、海外で支払った総額から自己負担相当額を差し引いた額よりも、支給金額が大幅に少なくなることがあります。
外貨で支払われた医療費については、支給決定日の外国為替換算率(売レート)を用いて円に換算して支給金額が算出されます。
<申請手続>
海外療養費の申請については、以下の申請書と添付書類が必要です。
ただし、保険者によって異なることがありますので、詳しくは各保険者にご確認ください。(保険者は保険証に記載されています)
海外療養費支給申請書 診療内容明細書(歯科診療内容明細書)
領収明細書 領収書原本 診療内容明細書(歯科診療内容明細書)と領収明細書の日本語訳 受診者の海外渡航期間が確認できる書類のコピー(パスポート、ビザ、航空チケットのいずれか) 療養を受けた人の同意書 ケガの場合:負傷原因届 第三者が原因での傷病の場合:第三者行為による傷病届 相続人が請求する場合:被保険者との続柄がわかる「戸籍謄本」等 労災の給付を請求中の場合:労働基準監督署への照会に関する同意書 |
2024年2月15日
社会保険労務士 柳田 恵一
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