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デジタル社会の実現に向けた重点計画

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<デジタル社会の実現に向けた重点計画>

令和3(2021)年9月1日、日本のデジタル社会実現の司令塔としてデジタル庁が発足しました。 

デジタル庁は、この国で暮らす一人ひとりの幸福を何よりも優先に考え、国や地方公共団体、民間事業者など関係者の方々と連携して、社会全体のデジタル化を推進する取組を牽引していく役割を担うとされています。 

この一方で、マイナ保険証の強引ともいえる普及推進にもかかわらず、なかなか利用率が高まりません。 

国はデジタル化について、どういう考えなのか、今後どうするつもりなのかが見えなくなってきていました。 

こうした中、令和6(2024)年6月21日、「デジタル社会の実現に向けた重点計画」が閣議決定されました。 

 

<デジタルの活用により目指す社会>

デジタル庁によると、デジタルの活用により目指す社会は、次のように想定されています。 

社会全体のデジタル化は、国民生活の利便性を向上させ、官民の業務を効率化し、データを最大限活用しながら、安全・安心を前提とした「人に優しいデジタル化」であるべきです。 

デジタル技術の進展により、一人ひとりの状況に応じたきめ細かいサービスが低コストで提供できるようになり、多様な国民・ユーザーが価値ある体験をすることが可能となってきました。 

デジタルの活用で目指すのは、これをさらに推進し、誰一人取り残されることなく、多様な幸せが実現できる社会です。 

 

 

デジタルの活用を進めていく中で、一足飛びに「誰一人取り残されることなく、多様な幸せが実現できる社会」となるわけではありません。 

コロナ禍の経験から、飲食店では店員とお客様との接触を最小限とすべく、対面での注文から、タブレットやスマホでの注文へと切り替えられてきました。 

こうした流れに対しては、高齢者を中心に抵抗感を示す人々も多く、一時的にせよ、客数の減少も見られました。 

デジタルの活用から取り残された人々が、生じてしまったことになります。 

しかし、やがては対面による注文と、ほとんど変わらないような形での注文を可能とするデジタル技術が開発され、実用化されて、一般に導入されるようになるでしょう。 

ここまで来て、はじめて「誰一人取り残されることなく、多様な幸せが実現できる社会」が到来するといえるでしょう。 

 

<デジタル社会で目指す6つの姿>

デジタル庁は、デジタル社会で目指す姿として、次の6つを掲げています。 

1.デジタル化による成長戦略  

社会全体の生産性・デジタル競争力を底上げし、成長していく持続可能な社会を目指す。 

 

2.医療・教育・防災・こども等の準公共分野のデジタル化 

データ連携基盤の構築等を進め、安全・安心が確保された社会の実現を目指す。 

 

3.デジタル化による地域の活性化 

地域の魅力が向上し、持続可能性が確保された社会の実現を目指す。 

 

4.誰一人取り残されないデジタル社会 

誰もが日常的にデジタル化の恩恵を享受できるデジタル社会の実現を目指す。 

 

5.デジタル人材の育成・確保 

デジタル人材が育成・確保されるデジタル社会を実現する。 

 

6.DFFTの推進をはじめとする国際戦略 

国境を越えた信頼性ある自由なデータ流通ができる社会の実現を目指す。 

 

 

ここで、6.のDFFT(Data Free Flow with Trust:信頼性のある自由なデータ流通)とは、「プライバシーやセキュリティ、知的財産権に関する信頼を確保しながら、ビジネスや社会課題の解決に有益なデータが国境を意識することなく自由に行き来する、国際的に自由なデータ流通の促進を目指す」というコンセプトです。 

平成31(2019)年1月にスイス・ジュネーブで開催された世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)で、当時の安倍総理が提唱し、令和元(2019)年6月のG20大阪サミットにおいて各国首脳からの支持を得て、首脳宣言に盛り込まれました。 

 

デジタル社会で目指す6つの姿は、最終到達点を示しているに過ぎませんから、そこに向かって、どのような経過をたどるのかについては、今後も注視する必要があるといえるでしょう。 

 

2024年8月9日

社会保険労務士 柳田 恵一

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