年金を受給する家族が亡くなった時の手続
<年金受給中の家族が死亡するケース>
従業員の配偶者や両親などが、基礎年金や厚生年金などの公的年金を受給中に亡くなった場合、必要な手続について、会社の人事部門に問合せが入ることもあるでしょう。
それまで年金を受給していた方が亡くなった場合には、ご遺族の方から日本年金機構に「受給権者死亡届(報告書)」の提出が必要です。ただし、日本年金機構に個人番号(マイナンバー)が収録されている方が亡くなった場合は、原則として省略できます。
また、年金を受給していた方が亡くなった時に、まだ受け取っていない年金や、亡くなった日より後に、口座に振り込まれた年金のうち、亡くなった月分までの年金については、未支給年金として亡くなった方と生計を同じくしていた遺族が、受け取ることができます。
<未支給年金を受け取る遺族>
年金を受給していた方が亡くなった当時、その方と生計を同じくしていた、配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹、その他3親等内の親族が未支給年金を受け取れます。
受け取る場合の優先順位もこの順番です。同じ順位の人が2名以上いる場合には、そのうちの1名が代表して請求します。
<手続書類と提出先>
書類の提出先は、年金事務所または街角の年金相談センターですが、どちらでも用紙を受け取ることができます。これは「未支給年金・未支払給付金請求書および受給権者死亡届(報告書)について」という5枚綴で、内容は次のとおりです。
- 1枚目:未支給年金の説明、記入上の注意
- 2枚目:記入上の注意(つづき)、添付書類
- 3枚目:未支給年金・未支払給付金請求書
- 4枚目:受給権者死亡届(報告書)
- 5枚目:生計同一に関する添付書類一覧表
このうち、1枚目、2枚目、5枚目は、説明が書かれているだけですので、記入して提出するのは、3枚目と4枚目です。
<未支給年金・未支払給付金請求書(3枚目)>
未支給年金と、あれば未支給の年金生活者支援給付金を請求する書類です。
添付書類として、次のものが必要です。
- 亡くなった方の年金証書
- 亡くなった方と請求する方の続柄が確認できる書類(戸籍謄本または法定相続情報一覧図の写し等)
- 亡くなった方と請求する方が生計を同じくしていたことがわかる書類(亡くなった方の住民票の除票および請求する方の世帯全員の住民票の写し(亡くなった方の住民票の除票は、請求する方の世帯全員の住民票の写しに含まれている場合は不要です。また、マイナンバーを記入すれば、請求する方の世帯全員の住民票の写しの添付を省略できます))
- 受取りを希望する金融機関の通帳(請求書に金融機関の証明を受けた場合は添付不要です。公金受取口座を利用する方は、請求書の「金融機関の証明」欄の証明および受取先金融機関の通帳等のコピーの添付は不要です)
- 亡くなった方と請求する方が別世帯の場合は「生計同一関係に関する申立書」
この中の戸籍謄本・住民票は、亡くなった日より後に交付されたものが必要です。
<受給権者死亡届(報告書)(4枚目)>
年金を受給していた方が亡くなったことを報告する書類です。
添付書類として、次のものが必要です。
- 亡くなった方の年金証書
- 死亡の事実を明らかにできる書類(住民票除票、戸籍抄本、市区町村長に提出した死亡診断書(死体検案書等)のコピーまたは死亡届の記載事項証明書のいずれか)
<その他の注意点>
提出が遅れると、亡くなった方の名義で、年金を多く受け取りすぎることとなり、後で返金しなければならない場合があります。年金を受給していた方が亡くなったときは、すみやかに提出しましょう。
未支給年金の請求をしても、亡くなった方の口座が解約されていないと、入金される場合があります。
亡くなった方の未支給年金は、その支給金を受け取った方の一時所得に該当し、確定申告が必要になる場合があります。
請求書を提出してから未支給年金を受け取るまで、約3か月かかります。
2024年3月15日
社会保険労務士 柳田 恵一
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