不法就労助長罪の厳罰化
<出入国管理及び難民認定法等の一部を改正する法律>
令和6(2024)年3月15日に法律案が国会に提出され、同年6月14日に可決成立しました。
施行日は一部の規定を除き、公布の日から起算して2年を超えない範囲内において政令で定める日とされています。
これによって、技能実習制度の廃止、育成就労制度の創設、永住許可の要件明確化・取消事由の追加の他、不法就労助長罪の法定刑の引き上げが行われます。
<不法就労助長罪>
外国人の不法就労は法律で禁止されています。
注意しなければならないのは、不法就労した外国人だけでなく、不法就労させた事業主も処罰の対象となることです。
在留カードを確認することで、所持する外国人が就労できるかどうかを、判別することができます。
<事業主が処罰の対象となる場合>
不法就労させ、または不法就労をあっせんした人には、不法就労助長罪が成立し、その法定刑は、3年以下の懲役および300万円以下の罰金となっています。
法改正により、法定刑が5年以下および500万円以下に引き上げられます。
注意が必要なのは、外国人を雇用しようとする際に、その外国人が不法就労者であることを知らなかったとしても、在留カードを確認していない等の過失がある場合には、犯罪が成立し処罰の対象となってしまうことです。
また、不法就労させ、または不法就労をあっせんした外国人事業主は退去強制の対象となりますし、外国人の雇入れ・離職について、ハローワークへの届出を怠り、または虚偽の届出をした場合にも、30 万円以下の罰金が科せられることになっています。
<不法就労の3パターン>
不法就労が発生してしまうのは、次の3パターンです。
1.不法滞在者や被退去強制者が働くケース
2.就労できる在留資格を有していない外国人で出入国在留管理庁から働く許可を受けていないのに働くケース
- 出入国在留管理庁から認められた範囲を超えて働くケース
2.3.では、留学生の資格外活動許可の内容を具体的にチェックすることが大切です。
<在留カードのチェック>
在留カードの就労制限の有無、番号の失効、資格外活動許可のチェックが基本です。
しかし、偽造カードではないかのチェックも必要ですから、次の点も確認しましょう。
・カードを上下方向に傾けた時、顔写真左の「MOJ」の文字の周囲の絵柄の色がグリーン~ピンクに変化するか
・顔写真の下の銀色のホログラムが、見る角度を 90°変えることで、文字の白黒が反転するか
・カードを上下方向に傾けた時、左端の縦型模様の色がグリーン~ピンクに変化するか
・暗い場所でカードおもて面側から強い光を直に当てて透かして見た時に、「MOJMOJ・・・」の透かし文字が見えるか
2024年10月18日
社会保険労務士 柳田 恵一
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