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嘘つきを解雇したいとき会社はどうすれば良いのでしょうか

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<悪性格を理由とする解雇>

単に嘘つき、意地悪、冗談がきついなど、性格が悪いので解雇するというのは、不当解雇になってしまう可能性が極めて高いのです。

会社からの指導によって、改善される余地があるのですから、解雇について、客観的に合理的な理由があるとはいえませんし、社会通念上相当ともいえません。

とはいえ、嘘つきの程度がひどく、仕事の報告、業務日報の内容がデタラメで、ありもしない噂を流すのが大好きで、無断欠勤をしたかと思うと、病院に行っていたという言い訳で、偽造したと思われる領収証を見せるというのでは、さすがに上司も同僚も参ってしまいますので考えものです。

 

<解雇を正当と考える基準>

解雇が正当か不当かというのは、最終的には司法判断となりますから、慎重に考えるのであれば、過去の判決などを参照することになります。

しかし、そこまでいかなくても、解雇を通告された人は、会社に対して解雇理由証明書の交付を求める権利があるということが、労働基準法に規定されていますから、会社がこれを求められても困らないのであれば、一応の正当性があると考えられるでしょう。

 

<解雇理由証明書を書けるようにする準備>

しかし、何も準備しないまま、解雇理由証明書を書けるものではありません。

解雇理由証明書には「就業規則第◯条第◯号による」などと記載することになりますから、就業規則の規定を整えておかなければなりません。

「報告・連絡は、事実に基づき正しく行うこと」などの義務規定を置き、「上長の許可なく、または正当な理由なく遅刻・早退・欠勤してはならない」などの禁止規定を置いて、これらに対応する懲戒規定を置くことになります。

もっとも、懲戒の対象となるのは、会社に損害をもたらした行為や、損害をもたらす危険が大きな行為に限られます。安易な懲戒もまた、懲戒権の濫用とされ、懲戒が無効とされてしまいます。

懲戒は、厳重注意のような軽いものからスタートし、改まらないのであれば一段高い懲戒へと進み、最終的には懲戒解雇ということになります。

どの段階でも、不都合な行為とその影響、本人への指導と改善状況についての記録は、残しておく必要があります。

 

<嘘をつく故意がない場合>

嘘つきとされる人の中には、嘘をつく故意がなく、能力不足で正しい行動がとれない人もいます。

メモを取る習慣がなく記憶に頼り、その記憶も不確かなために、報告・連絡が事実と違っていたり、業務日報の内容が誤っていたりということがあります。

この場合には、報告・連絡や業務日報の内容が正しくなるように、上司や先輩が指導すれば改善される余地があります。

このような悪意のない場合にまで、懲戒解雇というのでは不当解雇になってしまいます。

しかし、指導しても改善が見られない、あるいは改善する意欲・意思がないということであれば、懲戒解雇ではなく普通解雇とすることが考えられます。

就業規則に「求められている業務遂行能力に対して、はなはだしく劣り、向上の見込みがないとき」は、普通解雇とするというような規定が置かれているものです。

こういた規定がなくても、法的には労働契約の債務不履行ですから、民法の規定するところに従い、契約を解除できることになります。

2024年11月8日

社会保険労務士 柳田 恵一

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