令和5年の労働災害発生状況
<令和5年労働災害発生状況の公表>
令和6(2024)年5月27日、厚生労働省が令和5年の労働災害発生状況を取りまとめ公表しました。
これによると、令和5年の労働災害による死亡者数は755人(前年比19人減)と過去最少となりました。休業4日以上の死傷者数は135,371人(前年比3,016人増)と3年連続で増加しました。ただし、これは新型コロナウイルスによるものを除いた数値です。
ちなみに、新型コロナウイルスによるものを含めた労働災害による死亡者数は759人(前年比32人減)、休業4日以上の死傷者数は169,008人(前年比119,336人減)となっています。
<令和5年労働災害発生状況の概要>
この公表によると、主な結果は次のとおりです。
1.死亡者数
死亡者数は755人と、過去最少となった。 業種別では、件数の多い順に、建設業が223人(前年比58人・20.6%減)、製造業が138人(同2人・1.4%減)、陸上貨物運送事業が110人(同20人・22.2%増)、商業が72人(同9人・11.1%減)となった。 事故の型別では、件数の多い順に、「墜落・転落」が204人(前年比30人・12.8%減)、「交通事項(道路)」が148人(同19人・14.7%増)、「はさまれ・巻き込まれ」108人(同7人・6.1%減)となった。
2.休業4日以上の死傷者数 死傷者数は135,371人となり、3年連続で増加となった。 業種別では、件数の多い順に、製造業27,194人(対前年比500人・1.9%増)、商業21,673人(同29人・0.1%減)、保健衛生業18,786人(同1,549人・9.0%増)、陸上貨物運送事業が16,215人(同365人・2.2%減)となった。 事故の型別では、件数の多い順に「転倒」が36,058人(前年比763人・2.2%増)、腰痛等の「動作の反動・無理な動作」が22,053人(同1,174人・5.6%増)、「墜落・転落」が20,758人(同138人・0.7%増)となった。 |
<近年の傾向>
死亡事故については、昭和47(1972)年の労働安全衛生法施行以来、減少傾向が続いています。
これは、企業による労災事故発生防止に向けた努力の成果でもありますが、実は医学の発達によって、救われる命が増えていることの現れでもあります。
一方で、休業4日以上の死傷者数が3年連続で増加となったことが示されています。
実は、平成19(2007)年から10年以上続く傾向となっています。
これは、労働者の高年齢化と、サービス業の増加によるものと考えられています。
こうしてみると、労災事故発生防止に向けた、より一層の努力が求められているといえるでしょう。
2024年7月3日
社会保険労務士 柳田 恵一
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