職場に搾乳室の設置を
<搾乳室・搾乳スペースの設置>
女性が安心して職場復帰できる環境作りの一環として、厚生労働省は搾乳(さくにゅう)室・搾乳スペースの設置を推奨しています。
男性にはピンと来ないことも多いですが、出産した女性が安心して職場復帰し、働き続けることができるためには、搾乳室の存在が大きなポイントとなります。
専用の立派な搾乳室でなくても、工夫次第で搾乳スペースは作れます。
従業員のニーズを把握し、自社にあった取組みを考えましょう。
<搾乳の必要性>
搾乳は、出産後の女性が、母乳を自分でしぼることです。
手でしぼる方法と搾乳器を使用する方法があります。
出産後は、授乳をしない間にも身体が母乳を作り続けるため、職場復帰などで授乳回数が減った場合、母乳が溜まって乳房が張ってくることがあります。
乳房の張りを放置した場合、乳腺炎になり痛みや熱が出ることや、母乳の量が減ってしまうことがあります。
<搾乳室・搾乳スペースの必要性>
出産後に職場復帰した女性の中には、職場に衛生的で落ち着いて搾乳できる場所がないことや、時間的な余裕がないなどの理由で、搾乳を行うことができず、乳房の張りを解消できないまま不安な状態で過ごし、体調を崩してしまう人がいます。
また、産後早期に職場復帰して母乳を続けたい女性もいます。
搾乳室があれば、安心して復帰し、母乳を続けながら働くことができます。
<搾乳室・搾乳スペースの設備>
衛生的でプライバシーに配慮した他人から見えないスペースが必要です。
専用の個室ではなくても、女性用休養室等の一画にパーティションやカーテンで仕切った搾乳スペースを設けたり、使用頻度が低い部屋を予約制にして使用時に内鍵をかけたりの方法が考えられます。
搾乳時に座る椅子や、搾乳器、保存容器などを置ける机や台を用意しましょう。ゆったり座れて、体調不良の時は寄りかかったり横になったりできるソファを用意するのも良いでしょう。
<社員教育>
安心して搾乳するためには、物理的な設備を整えるだけではなく、上司や同僚など職場の理解と会社のサポートが必要です。
搾乳の頻度、時間、母乳が出る期間には個人差があり、母乳を続けたい期間も人それぞれです。
各個人の状況に応じて搾乳できるよう、職場の理解を深めるために会社がサポートしましょう。
2023年6月21日
社会保険労務士 柳田 恵一
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