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育児のための所定外労働の制限(令和7年4月改正)

人事情報お役立ちブログ(毎週更新) 勤怠・就業管理関連

<所定外労働の制限(残業免除)の対象拡大>

令和7(2025)年4月から、育児・介護休業法の改正により、育児のための所定外労働の制限が拡大されます。 

現在、3歳に満たない子を養育する労働者は、会社に請求すれば所定外労働の制限(残業免除)を受けることが可能です。 

これが法改正後は、小学校就学前の子を養育する労働者が請求可能となります。 

 

<会社の対応>

就業規則の中に、あるいは育児介護規程などの中に、詳細な規定が置かれている会社では、規定の改定と所轄労働基準監督署長への届出が必要となります。 

この場合でも、また就業規則に「育児・介護休業等については、育児・介護休業法の定めに従う」のような簡易な規定が置かれている場合でも、法改正の内容を社内に周知する必要があります。 

特に部下の中に育児中の従業員がいる管理職、これから出産・育児を控えている部下のいる管理職に対しては、十分な理解をしてもらわなければなりません。 

 

<誤解されやすい「残業」の意味>

「残業」というのは、法律用語ではなく日常用語であるために、今回の法改正にある「残業免除」という言葉の意味が誤解される危険をはらんでいます。 

まず、終業時刻を超えて働き続ける残業も、始業時刻の前に働き始める早出も、時間外労働であり「残業」扱いとなります。 

また、三六協定の対象となる時間外労働は、「法定時間外労働」のことを指していますから、1日8時間、1週原則40時間を超える労働のことをいいます。 

しかし、この法改正で対象とされる残業免除の「残業」は、「所定時間外労働」のことを指しています。 

つまり、就業規則や個別の労働契約によって、会社と従業員との間で取り決めた労働時間(所定労働時間)よりも長時間働くことが、制限の対象となります。 

 

<残業免除の意味>

所定外労働が制限されるのは、育児中の労働者が所定外労働の免除を希望した場合に限られます。 

本人が希望していないにもかかわらず、会社の方から所定時間を超える勤務を禁止するようなことはできません。 

あくまでも本人からの請求を受けて、会社が対応するものであることを忘れてはなりません。

2025年1月22日

社会保険労務士 柳田 恵一

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