リソースページへ戻る

振替休日と代休の違いを徹底解説!労働基準法の観点から

人事情報お役立ちブログ(毎週更新) 勤怠・就業管理関連

振替休日と代休は、言葉が似通っていることから、なんとなく同じようなもののように思われがちです。しかし、これらを正しく運用するためには、明確に区別する必要があるのです。

 

振替休日とは?

振替休日とは、予め休日と定められていた日を出勤日とし、その代わりに、他の出勤日を休日とすることをいいます。これは裏返すと、予め出勤日と定められていた日を休日とし、その代わりに、他の休日を出勤日とすることだと表現することもできます。

 

代休とは?

代休とは、予め休日と定められていた日を出勤日とし、休日出勤が行われた後で、その代償として、それより後の出勤日を休日と決めて休むことをいいます。急に必要が生じたので、休日にとりあえず出勤してもらい、後になってから、代わりの休みを決定するという形になります。

 

振替休日と代休の共通点

振替休日も代休も、就業規則や労働契約で定められた休日に出勤する点が共通しています。休日は本来、労働が免除されている日ですから、従業員はこの日に休むことが原則として保障されています。根拠なく、休日に出勤するように求められることはありません。

このように、振替休日や代休は、本来の休日に出勤することを前提としますから、就業規則や労働条件通知書に、休日労働と振替休日や代休についての規定がなければ、行うことはできないのです。

 

振替休日と代休の主な違い

振替休日は、休日と出勤日を交換することであり、遅くとも本来の休日に出勤する前日までには、代わりの休みが決まっています。代休では、代わりの休みが決まらないまま休日出勤を行い、後日、代わりの休みを決めることになります。

振替休日であれば、代わりの休みを先に取っておいてから、本来の休日から出勤日に切り替わった日に勤務するということもありえます。しかし代休では、代わりの休みが、休日出勤よりも後の日になります。これは、振替休日が計画的に行われるものであるのに対し、代休が代わりの休みを決められないまま、とりあえず休日出勤が行われるものだからです。

 

給与計算における振替休日と代休の違い

振替休日と代休とでは、本来の休日に出勤した日の賃金の計算方法が異なります。また、週・月で考えた場合の計算にも注意が必要です。

 

・振替休日の場合

振替休日は、休日と出勤日を交換するので、本来の「休日出勤」には該当しません。たとえ法定休日に出勤しても、出勤日に出勤した扱いとなるのです。このため割増賃金は不要で、通常の賃金を支払うことになります。

ただし、本来の休日に出勤したことにより、その週の労働時間が法定労働時間を超えることになれば、この部分については、通常の残業と同じく、就業規則により25%以上の割増賃金が支払われます。

 

・代休の場合

代休の場合には、休日を休日としたまま出勤しますので、この日が法定休日であれば、就業規則に従い35%以上の割増賃金が支払われます。

これ以外の場合には、本来の休日に出勤したことにより、その週の労働時間が法定労働時間を超えることになれば、この部分については、通常の残業と同じく、就業規則により25%以上の割増賃金が支払われます。

 

・考え方として

労働基準法では、「休日」といえば「法定休日」のことを指しています。ですから、法律上は「休日出勤」といえば、「法定休日出勤」のことを指しています。「休日出勤は35%以上の割増賃金」というのは、「法定休日出勤」のことを言っています。

振替休日であれば、元々の法定休日に出勤しても、この日は出勤日に置き換わっていますから、休日出勤とはならないのです。

しかし、1週間合計の勤務時間を計算すると、振替休日でも40時間の法定労働時間を超えることがありますので、ここは25%以上の割増賃金となるのです。

日常用語では、法定休日以外の所定休日の出勤も休日出勤と呼んでいます。これによって混乱しないように注意しましょう。

 

どちらを取得すべきか?メリット・デメリット比較

振替休日と代休には、それぞれにメリットとデメリットがあります。基本的には、代わりの休みを事前に計画する振替休日を原則とし、やむを得ない場合には代休を用いることになるでしょう。

 

・振替休日のメリット

振替休日は、会社にとって、法定休日の割増賃金を避けられる点で、人件費の増加を抑えることができます。

同一週内で、代わりの休みを設定すれば、1週間での労働時間の増加による割増賃金の発生を抑えることもできます。

従業員にとっても、出勤日と休日が予め分かっているので、ワーク・ライフ・バランスの面で有利です。

 

・振替休日のデメリット

就業規則で、振替休日での「代わりの休み」を同一週内にする規定とすれば、人件費は抑えられるのですが、かなり窮屈な制度となってしまいます。

また、給与の締切日をまたがないように「代わりの休み」を設定するルールとしなければ、給与計算が面倒になってしまいます。しかし、給与の締切日近くになって、本来の休日に出勤する必要が生じたときには、「代わりの休み」が設定しにくくなってしまいます。

さらに、本来の休日に出勤する前に、「代わりの休み」が取れれば良いのですが、計画した「代わりの休み」に仕事が入って出勤した場合には、給与計算のやり直しや修正が発生してしまいます。振替休日ではなくなってしまうからです。

 

・代休のメリット

代休であれば、予め「代わりの休み」を決めておく必要がありませんから、業務上の必要に応じて、休日出勤を柔軟に行うことができます。

 

・代休のデメリット

代休について、就業規則に定めを置く場合、「休日出勤から2か月以内に代休を取得すること」などの規定となるでしょう。しかし、結果的に代休が取れなかった場合には、その分の賃金が発生してしまいます。

長時間労働が当たり前になってしまっている職場では、休日出勤が多発する一方で、代休がほとんど取れないという状況も考えられます。こうした職場では、代休制度を運用するよりも、割増賃金の支払を優先したほうが現実的だということになってしまいます。

 

Dayforce Workcloud(デイフォース ワーククラウド)の優れた特長

以上、振替休日と代休について、一般的なご説明をさせていただきました。

どちらの場合にも、「代わりの休日」が取れなかった場合などには、給与計算のやり直しや修正が発生してしまい、大変なことになるのは確かです。だからといって、休日の出勤を一切禁止するというのも、柔軟性に欠けてしまいます。

また、振替休日や代休とは別に、1か月60時間を超える法定時間外労働を行った場合の代替休暇というのもあります。これを運用するとなると、給与計算はさらに複雑なものとなります。

 

Dayforceの「Dayforce Workcloud」なら、100%自社開発のクラウドシステムのため、給与管理だけでなく、勤怠、年末調整、各種申請も含めあらゆる機能のワンシステム化が実現できました。「誰もが使いやすい」を追究し、クラウドでのデータ一元管理やマルチデバイスの対応はもちろん、ワンクリックで英語表示できるので、外国人従業員の方も安心して使用することができます。

在宅勤務にも対応し、出勤した日だけワンクリックで交通費の精算ができる機能など、最新の機能追加やカスタマイズ開発に柔軟に対応しております。

ぜひともDayforce Workcloudシステムの導入をご検討ください。

 

2024年2月19日

社会保険労務士 柳田 恵一

給与・勤怠・労務システムに関するご相談はこちら