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【監修付き】日給月給制とは?月給制との違いや、計算方法など紹介 

人事情報お役立ちブログ(毎週更新) 給与計算関連

日本国内の会社で働く従業員の中でも、特に正社員と呼ばれる人たちについては、ほとんどの場合に日給月給制がとられています。「自分は月給制」と認識していても、実は日給月給制ということが多いのです。

 

日給月給制とは

日給月給制とは、1日あたりの賃金を計算基準として給与の月額が決定され、毎月1回まとめて支払われる給与形態であって、欠勤・遅刻・早退などがあった場合に、その時間分の給与を差し引く給与形態のことをいいます。

 

日給月給制のメリット

日給月給制では、欠勤・遅刻・早退の分だけ給与が差し引かれます。このことから、次の3つのメリットがあります。

  • 会社としては、人件費コストを抑えることができます。
  • 従業員間での公平が保たれます。
  • 欠勤・遅刻・早退の抑止力が働きます。

3つめの「抑止力」というのは、プライベートなことは勤務時間外に行うようにして、なるべく欠勤・遅刻・早退をしないようにしようという心がけが生じることをいいます。

 

日給月給制のデメリット

日給月給制の最大のデメリットは、病気やケガなどのときでも、安心して休めないことにあります。欠勤・遅刻・早退の分だけ給与が差し引かれるのですから、ある程度無理をして勤務する従業員も出てきます。これによって、症状が悪化したのでは、会社にとっても労働力の低下が生じてしまいます。

こうした事態を防ぐには、病気休暇制度を設ける、事由により年次有給休暇の事後申請を認めるなどが考えられます。

また、健康保険加入者であれば、傷病手当金の申請を速やかに行うというのも有効です。

日給月給制と他の給与体系との違い

・月給制との違い

本来の月給制は、完全月給制とも呼ばれ、給与の月額が決定され、毎月1回まとめて支払われる給与形態であって、欠勤・遅刻・早退などがあった場合でも、その時間分の給与が差し引かれない給与形態のことをいいます。

この給与形態では、休んでも給与の減額がないため、年次有給休暇を取得するタイミングが分からないと言われます。形式的に時季を指定して、年次有給休暇を取得した扱いにする他ありません。

また、固定給のイメージがあるためか、残業代込みの給与だとする誤った運用も見られます。固定(定額)残業代の仕組みを適正に運用するか、(完全)月給制の対象者を管理監督者に限定するなどして、適法性を確保する必要があります。

 

・日給制との違い

日給制とは、1日を計算単位として定められた日給を支給する給与形態です。

日給月給制との違いは、日給月給制が、決定された給与の月額から欠勤・遅刻・早退などがあった場合に、その時間分の給与を差し引く給与形態のことをいうのに対して、日給制では、働いた日数分の給与が支給される点にあります。

日給月給制では月給が決まっていますが、日給制では働いた日数により1か月の給与が変動することになります。

 

・時給制との違い

時給制とは、1時間を計算単位として定められた給与を支給する給与形態です。

1時間単位で給与計算を行うことから、短時間の勤務や変則的なシフトに対応しやすい給与形態です。このため、アルバイト・パートなどの短時間労働者について多く用いられます。

日給月給制では月給が決まっていますが、時給制では働いた時間数により1か月の給与が変動することになります。

 

日給月給制の計算方法

・基本の計算方法

日給月給制の月給は、次の計算式で求められます。

月給 = 1日あたりの賃金 ✕ その月の予定労働日数

通常、日給月給制がとられる従業員の場合、月ごとの予定労働日数は、予め決められていますから、月給も決まっていることになります。

 

・欠勤や遅刻による給与の変動

日給月給制では、欠勤・遅刻・早退の分だけ給与が差し引かれるのですが、その計算方法は就業規則に従います。仮に1か月の予定労働時間から、時間単価を計算し、これを基準に欠勤控除する場合を考えてみましょう。

1日の所定労働時間が8時間で、その月の予定労働日数が20日、1日あたりの賃金が1万円の計算で月給が20万円だとします。

このとき、1か月の予定労働時間とその月の時間単価は、次の計算式で求められます。

 

【1か月の予定労働時間】

8時間 ✕ 20日 = 160時間

【その月の時間単価】

20万円 ÷ 160時間 = 1,250円

 

給与計算の基本的な考え方からすると、以上のような計算になるのですが、日給月給制の場合には、次の計算式でも同じ結果となりますから、就業規則にもこの形で規定されている場合があります。

基準となる1日あたりの賃金(1万円) ÷ 1日の所定労働時間(8時間)
= 時間単価(1,250円)

この例では、1日丸々欠勤すれば、1,250円×8時間=1万円が欠勤控除され、月給は19万円(20万円-1万円)となります。

ここでも、端的に基準となる1日あたりの賃金1万円の欠勤控除と考えることができます。

 

また仮に30分の遅刻や早退をしたのであれば、これについての欠勤控除は、次の式で計算されます。

時間単価(1,250円)×(30分 ÷ 60分) = 625円

円未満の端数が生じたときは、四捨五入または切り捨てとして、従業員に不利にならないようにするのが一般的です。

 

日給月給制を採用する際の注意点

・就業規則に規定しましょう

日給月給制では、欠勤・遅刻・早退の分だけ給与が差し引かれるのですが、その計算方法は就業規則に従います。つまり、欠勤控除の規定が必須となります。

就業規則には、賃金計算の方法を示すことが義務付けられていますから、欠勤控除の計算方法についても、具体的な規定を置いておかなければ、欠勤控除ができないことになってしまいます。

 

・残業代などの割増賃金も必要です

所定労働時間を超える労働には、残業代の支払が必要です。1日8時間、1週40時間を超える労働時間には、割増賃金が必要です。

これは、深夜労働や法定休日労働の割増賃金でも同じことです。

これらについて、労働基準法には給与形態による例外がありません。

 

よくある質問(FAQ)

Q:日給月給制はどのような職種で採用されているのか?

A:日給月給制は、特定の職種に限定されず、幅広く多くの職種にわたって採用されています。就業規則や社内用語でも、特に日給月給制とは呼ばず単純に「月給制」と呼んでいることも多いのです。

 

Q:日給月給制の雇用形態は限定されているのか?

A:「日給月給制」には、「日給」という言葉が含まれていますので、日雇いバイトや非正規社員限定のイメージが抱かれることもあります。しかし実際には、正社員にも幅広く使われている給与形態です。

 

Q:日給月給制の労働時間や休日はどうなっているのか?

A: 「日給月給制」には、「日給」という言葉が含まれていますので、「1日働いたらいくら」という制度だと勘違いされることもしばしばです。しかし、1日の所定労働時間を定めておかなければ、時間単価や残業代も計算できません。

 

Q:年次有給休暇は欠勤控除されるのか?

A:年次有給休暇は、休んでも賃金が控除されない法定の権利です。日給月給制の給与計算でも、労働基準法により欠勤控除されず、出勤したものとされます。

 

Q:資格手当や職務手当なども、欠勤控除の対象となるのか?

A:このような会社独自の手当について、欠勤控除の対象とするかしないかは、確立したルールがありません。それぞれの会社で、就業規則に定めて運用することになります。

 

Dayforce Workcloud(デイフォース ワーククラウド)の優れた特長

以上、日給月給制について、一般的なご説明をさせていただきました。

実は、この「日給月給制」は法律用語ではないため、統一された運用方法があるわけではないのです。このため、それぞれの会社で独自の運用をしているという実態があります。

日給月給制の給与形態に、一般的な給与管理システムを導入しようとしても、現状の運用のままでは、苦労してしまうこともあります。かといって、システムに合わせて会社の運用方法を変更するのでは本末転倒です。

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2024年2月19日

社会保険労務士 柳田 恵一

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