リソースページへ戻る

【監修付き】配偶者特別控除とは?必要性や計算方法、適用条件まで完全解説

人事情報お役立ちブログ(毎週更新) 給与計算関連

「控除」の意味は簡単で、「差し引く」ということにすぎません。この「控除」があって、多ければ多いほど、納税額が減ることになります。

そして、納税額を減らせる控除には、「所得控除」と「税額控除」があります。

「所得控除」は、課税対象となる所得金額からの控除です。

「税額控除」は、税金から直接控除するものです。

 

<配偶者特別控除の基本的な定義>

 

配偶者特別控除も控除の一種です。しかし、配偶者がいれば、必ずこの控除を受けられるというわけではありません。配偶者の所得によって、配偶者控除や配偶者特別控除が受けられたり、どちらの控除も受けられなかったりします。

 

  • 配偶者特別控除とは

 

配偶者特別控除とは、配偶者に48万円を超える所得があるため、配偶者控除の適用が受けられないときでも、配偶者の所得金額に応じて、一定の金額の所得控除が受けられる場合をいいます。

配偶者の所得が、配偶者控除を受けられる基準額を超えていても、大きく超えていなければ、配偶者の所得金額に応じて段階的な控除が受けられるしくみです。

 

  • 配偶者特別控除と配偶者控除の違い

 

納税者に所得税法上の控除対象配偶者がいる場合には、一定の金額の所得控除が受けられます。これを配偶者控除といいます。

控除額は、控除を受ける納税者本人の合計所得金額、および控除対象配偶者の年齢により次の表のとおりになります。

なお、老人控除対象配偶者とは、控除対象配偶者のうち、その年の12月31日現在で年齢が70歳以上の方をいいます。

 

控除を受ける納税者本人の

合計所得金額

控除額
一般の控除対象配偶者 老人控除対象配偶者
900万円以下 38万円 48万円
900万円超950万円以下 26万円 32万円
950万円超1,000万円以下 13万円 16万円

 

配偶者が障害者の場合には、配偶者控除の他に障害者控除27万円(特別障害者の場合は40万円、同居特別障害者の場合は75万円)が控除できます。

 

配偶者控除の適用がない方で、納税者本人の合計所得金額が1,000万円以下であり、かつ、配偶者の合計所得金額が48万円超133万円以下である方については、配偶者特別控除の適用を受けることができます。

また、配偶者特別控除額は最高で38万円ですが、配偶者特別控除の適用を受ける納税者本人の合計所得金額および配偶者の合計所得金額に応じて異なります。

 

参考:国税庁 タックスアンサー No.1191 配偶者控除

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1191.htm

 

<配偶者特別控除の計算方法>

 

配偶者特別控除の控除額は、控除を受ける納税者本人のその年における合計所得金額および配偶者の合計所得金額に応じて次の表のようになります。

 

控除を受ける納税者本人の合計所得金額
900万円以下 900万円超
950万円以下
950万円超
1,000万円以下









48万円超 95万円以下 38万円 26万円 13万円
95万円超 100万円以下 36万円 24万円 12万円
100万円超 105万円以下 31万円 21万円 11万円
105万円超 110万円以下 26万円 18万円 9万円
110万円超 115万円以下 21万円 14万円 7万円
115万円超 120万円以下 16万円 11万円 6万円
120万円超 125万円以下 11万円 8万円 4万円
125万円超 130万円以下 6万円 4万円 2万円
130万円超 133万円以下 3万円 2万円 1万円

 

参考:国税庁 タックスアンサー No.1195 配偶者特別控除

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1195.htm

 

<年収の「103万・150万 ・201万の壁」とは?>

 

さて、配偶者控除や配偶者特別控除とも関連して、「年収の壁」が話題となります。それぞれの壁について見ていきましょう。

 

  • 103万円の壁

 

配偶者の収入が給与だけであれば、配偶者側で「給与所得控除」が適用できます。

給与所得控除は、年収が162万5,000円までの場合、「55万円」が控除できます。

給与収入が年間103万円以下なら、給与所得控除を差し引いたが額が48万円以下となり、配偶者控除を受けられます。

103万円は、配偶者控除を受けられる給与収入の限界なのです。

 

  • 150万円の壁

 

配偶者特別控除で、満額(38万円)の控除を受けるには、納税者の合計所得金額が900万円以下で、配偶者の合計所得金額が95万円以下であることが必要です。これは、給与収入のみなら年収150万円以下となります。

合計所得金額が900万円以下の従業員は、配偶者の給与収入が150万円以下であれば、配偶者控除と同額の控除額を受けられることになります。

150万円は、満額の控除を受けられる給与収入の限界なのです。

 

  • 201万円の壁

 

配偶者特別控除では、133万円が配偶者の合計所得金額の上限となります。これは、給与収入のみの場合「201万円」となります。

201万円は、少しでも配偶者特別控除を受けられる給与収入の限界なのです。

 

<配偶者特別控除の適用条件>

 

配偶者特別控除が適用された場合の控除額については、先程の表から明らかですが、適用されるためには、いくつかの条件をクリアする必要があります。

 

  • 配偶者控除の対象となる条件

 

1.控除を受ける納税者本人のその年における合計所得金額が1,000万円以下であること。

 

2.配偶者が、次の要件すべてに当てはまること。

 

イ 民法の規定による配偶者であること(内縁関係の人は該当しません)。

 

ロ 控除を受ける人と生計を一にしていること。

 

ハ その年に青色申告者の事業専従者としての給与の支払を受けていないことまたは白色申告者の事業専従者でないこと。

 

ニ 年間の合計所得金額が48万円超133万円以下であること。

 

3.配偶者が、配偶者特別控除の適用を受けていないこと。

 

4.配偶者が、給与所得者の扶養控除等申告書または従たる給与についての扶養控除等申告書に記載された源泉控除対象配偶者がある居住者として、源泉徴収されていないこと(配偶者が年末調整や確定申告で配偶者特別控除の適用を受けなかった場合等を除きます。)。

 

5.配偶者が、公的年金等の受給者の扶養親族等申告書に記載された源泉控除対象配偶者がある居住者として、源泉徴収されていないこと(配偶者が年末調整や確定申告で配偶者特別控除の適用を受けなかった場合等を除きます。)。

 

  • 配偶者特別控除を忘れてしまったら

 

配偶者特別控除の申告を忘れていた場合、確定申告の期限内の場合と、期限後の場合とで、できることが異なります。

 

・確定申告の期限内の場合

 

年末調整で配偶者特別控除の申告を忘れていた場合でも、2月16日から3月15日までの期限内に確定申告をすれば、配偶者特別控除を受けることができます。

 

さらに、確定申告で配偶者特別控除の申告を忘れていた場合でも、期限内であれば、正しい内容の確定申告書を作成して再度の提出が可能です。この場合には、日付の新しい確定申告が有効となります。

 

・確定申告の期限後の場合

 

確定申告の期限を過ぎてしまった場合でも、原則として法定申告期限から5年以内であれば、「更生の請求」を行うことで税金の還付を受けることができます。管轄の税務署に更生の請求書を提出することになります。

 

<Workcloud(ワーククラウド)システムなら>

 

年末調整で使う配偶者特別控除の申告書は、基礎控除申告書、所得金額調整控除申告書と統合されて1枚になっています。このことだけでも、理解が困難になってしまっています。これでは、従業員の負担も大きく、正しく適切な記入を求めるのは酷といえるでしょう。

 

こうした事態を抜本的に解消する方法としては、「年末調整の電子化」が最適だといえます。今では、生命保険料控除や住宅ローン控除などに必要となる控除証明書も、電子データで受け取って提出できるようになっています。

 

手続担当者も他の従業員も、年末調整の負担を軽減するために、一括して電子化することを考えてはいかがでしょうか。

 

Workcloudオンライン年末調整なら、3STEPで簡単・正確・スピーディー!

 

STEP1 従業員が基本情報を入力

従業員ごとにマイページを発行。従業員は基本情報を入力していくだけで、提出ができます。

 

STEP2 人事・労務が登録情報を確認

従業員が入力した情報の確認を行います。不備や未提出のステータスの絞り込みや一斉修正依頼メールの送信が可能です

 

STEP3 人事・労務が承認

入力内容が確認出来たら、承認ボタンを押して完了

 

細かなデータの確認や源泉徴収票の自動作成ができ、提出も電子申告が可能です。自動計算だけではなく、源泉徴収票、給与支払報告書などその他の業務はデイフォースが対応するため、従来の年末調整とは比較にならない効率化が可能になります。

 

2023年12月15日

社会保険労務士 柳田 恵一

給与・勤怠・労務システムに関するご相談はこちら