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【監修付き】給与計算ソフトとは?導入のメリットやデメリットも

人事情報お役立ちブログ(毎週更新) 給与計算関連

まだ給与計算ソフトを導入していない企業では、給与計算に必要なデータが予定通りに集まらなかったり、途中でミスに気づき遡ってやり直したりと、想定外の残業が発生することもあるでしょう。給与計算ソフトを導入すれば、効率の良い給与計算ができるのは間違いありません。

 

すでに給与計算ソフトを導入している企業では、現在利用中のものが、自社の給与体系に適合していなかったり、手作業での修正が必要であったりと、不満を抱えながら、給与計算業務に取り組んでいるかも知れません。

 

さて、そもそも給与計算ソフトとは何なのか、その機能や選ぶポイントなどについてご説明させていただきます。

 

<給与計算ソフトとは>

 

給与計算ソフトとは、従業員の勤怠情報を元に給与計算の他、年末調整、社会保険料や税金の計算などを自動で行い、給与明細の発行や年末調整の簡略化などさまざまな作業を自動化できるITツールのことをいいます。導入によって、給与計算だけでなく、関連業務を含め早く正確に行うことができ、業務の負担が大幅に軽減されます。

 

また、手作業を中心とする給与計算業務では、労働基準法、健康保険法、厚生年金保険法など法令の改正や通達の変更、保険料率や税率の改定の都度、注意深く正しい情報を集めて、業務内容に反映させなければなりません。給与計算ソフトは、毎年のように発生する変更内容が自動的に反映されるため、こうした手間も軽減されるのです。

 

<給与計算ソフトの必要性>

 

一口に給与計算業務と言っても、この業務には従業員の給与計算そのもの以外にも、給与の振込み手続き、各種帳票の作成、社会保険料や税金の納付など、関連してやるべきことは多いのです。

 

そしてこの給与計算業務を担当している、総務、人事、経理といった部門の従業員は、その部門本来の業務を抱えています。給与計算業務に多くの時間を取られて、他の業務が間に合わなかったり、おろそかになったりでは困るのです。

 

給与計算ソフトを導入することによって、給与計算業務の負担を大幅に軽減できます。こうして、総務、人事、経理といった部門の従業員は、その部門固有の本来の業務に多くの時間を割けるようになります。

 

このように、給与計算ソフトは業務効率化につながるものですから、どの企業でも導入する必要性が高いといえるでしょう。

 

<給与計算ソフトのメリット>

 

ここまでの説明だけでも、給与計算ソフトのメリットはお分かりいただけたと思います。ここでは、大きなメリットである、人為的なミスの防止、給与計算を担当する従業員の労力軽減、法改正や運用変更へのスムーズな対応について、具体的にご紹介させていただきます。

 

  • 人為的なミスを防ぐことができる

 

給与計算ソフトの導入によって人為的なミスを防止することができます。

 

給与計算ソフトでは、勤怠データから時間外労働の時間数を、1日単位、1週間単位、1か月単位で集計し、時間外割増賃金の対象となる時間、法定休日割増賃金の対象となる時間、深夜割増賃金の対象となる時間などを自動的に判別します。そして、それぞれに見合った割増率で自動計算します。これによって、判断ミスや計算ミスを防げます。

 

こうした集計、区分、計算は、誤りがないように、ダブルチェックを行うものですが、給与計算ソフトではこの時間も削減できるのです。

 

  • 労力を軽減することができる

 

給与計算ソフトを導入することによって、給与計算に関わる従業員の労力が軽減されます。これは、企業にとっては人件費の削減となりますが、従来の方法で給与計算を行う場合に比べ、担当する従業員の労働時間だけでなく、ストレスの軽減となります。これは、過重労働の防止として非常に有効です。

 

実際には、その企業の給与体系の複雑さや、導入する給与計算ソフトによって、労力の削減効果は異なります。しかし、給与計算業務にかかる時間を減らせれば、その従業員が本来担当している業務をこなす時間を増やすことができます。同じ部門の他の従業員の残業を削減することもできるのです。

 

  • 改正や変更への対応もミスなく労力を費やさずに対応できる

 

税率・社会保険料率や労働基準法などの法令改正、通達など行政による運用の変更に対応可能な点も、給与計算ソフトを導入するメリットです。

 

税率や保険料率の改正は毎年のように行われています。これらへの対応がシステムの自動アップデートによって行われます。給与計算担当者が、悩みながら改正について対応したり、対応漏れによって給与計算をやり直したりということがなくなります。

 

労働基準法など法令の改正内容を、給与計算を担当する従業員が理解し、これを給与計算に反映させるというのは、その従業員が法令についての専門性を持ち合わせていない限り大変なことです。働き方改革が始まってから、労働関係の法改正は本当に頻繁に行われています。給与計算システムの導入なくして、対応することは困難な状態となっています。

 

給与計算ソフトはマイナンバー制度にも対応可能です。マイナンバーの活用範囲は、徐々に広がってきていますので、給与計算業務やこれに付帯する業務では、その役割が拡大してきています。源泉徴収票から始まり、雇用保険や社会保険の手続でも従業員のマイナンバーが必要となっています。すでに給与計算業務や関連業務では、従業員からマイナンバーを取得して管理する必要があります。この管理も給与計算ソフトに任せることができます。

 

<給与計算ソフトを利用する場合の注意点>

 

給与計算ソフトの導入について、特にデメリットはありません。しかし給与計算ソフトには、勤怠情報の他にも入力が必要なデータがあります。給与計算に関わる知識を全く持っていない従業員が、給与計算ソフトを扱うというのは難しいでしょう。

 

特に育児休業、介護休業、、年次有給休暇などについては、その制度内容をある程度、理解していることが必要となります。また割増賃金についても、振替休日と代休の違いなどは知識が必要です。もちろん、基本的には給与計算ソフトが勤怠情報を元に自動計算してくれますが、勤怠情報の正しさはある程度、チェックできる人が利用するのが無難です。

 

<給与計算ソフトの主な機能>

 

それぞれの給与計算ソフトによって、その機能にはある程度の特性が見られます。ここでは、給与計算ソフトに共通する一般的な機能を確認しましょう。

 

  • 自動計算機能

最も基本的な機能ですが、勤怠情報を元に、従業員の給与を自動で計算する機能です。これには、所得税や各種保険料などの計算も含まれます。

 

  • 給与明細表示機能

クラウド型の給与計算ソフトであれば、給与計算を担当する部署だけでなく、各従業員がオンラインで給与明細を閲覧できます。これによって、給与明細のペーパーレス化も可能です。

 

  • 勤怠管理機能

シフト管理や勤怠管理機能を搭載したソフトであれば、勤怠管理と給与管理を合わせて行い、情報の一元化も可能となります。

 

  • 自動アップデート機能

法令や通達などの改正に応じて、給与や税金などの計算が変わることもあります。クラウド型の給与計算ソフトであれば、この変更が自動アップデートによって行われますので、手間がかかりません。

 

<給与計算ソフトをおすすめする企業>

 

さて、給与計算ソフトの導入がご自分の企業に向いているのか、どのような企業が給与計算ソフトを導入すると、大きな効果が期待できるのかについて、ご説明させていただきます。基本的には、次のような企業には、是非とも導入していただきたいと考えます。

 

  • 給与計算業務に数日かかる企業

給与計算にかかわる従業員が、定期的に過重労働に陥っている可能性があります。今後、従業員が増えていけば、給与の支給日に口座振込が間に合わなくなったり、従業員の全員にかかわるような計算ミスが発生したりするリスクがあります。これは、給与計算を担当する従業員の責任というよりは、体制の問題なのですが、その従業員に退職を決意させることにもなりまねません。

 

  • 労働法違反のリスクを軽減したい企業

労働基準法など労働法違反のリスクをできるだけ減らしたい企業も、給与計算ソフトの導入をおすすめします。たとえば、労働基準法第24条には「賃金全額払いの原則」が規定されているのですが、賃金の一部支払漏れは、この規定に違反することになるのです。給与計算ソフトの導入により、正確な給与計算が可能になるため、賃金の一部未払いといった事態を防げるでしょう。

 

  • 個人情報の保護を重視したい企業

給与計算ソフトは個人情報の保護に役立ちます。給与計算業務で扱うデータは、そのほとんどすべてが重要な個人情報です。こうした情報は「労働者の個人情報の保護に関する行動指針」(厚生労働省)によって、厳重に扱うこととされています。個人情報が漏洩すれば、従業員だけでなく、社会からの企業への信頼が失われてしまいます。これを防ぐには、給与計算ソフトの導入が有効なのです。

 

<給与計算ソフトを選ぶポイント>

 

給与計算ソフトは、有名ならばどれを選んでも良いということではありません。それぞれの企業に最適なものを選ぶ必要があるのです。次の3点を参考に選んでいただけたらと思います。

 

  • 企業規模や契約形態の多様性

給与計算業務は、企業の規模が大きければ複雑になります。また従業員の正社員、嘱託社員、パート、アルバイトなど雇用契約の形態が多種であれば、それだけ給与体系の違いもあって複雑となります。従業員数が100人位までは、給与計算機能のみのソフトでも間に合いますが、これ以上の規模の企業では、人事労務管理や勤怠管理との連携が取れるソフトをおすすめします。

 

  • 費用対効果の検討

給与計算ソフトに搭載されている機能が、ご自分の企業にとって、必要十分なものであることが重要です。機能が不足しているのは困りますし、必要以上の機能が備わっていても、使いこなせなければ無駄な経費が発生してしまいます。導入コストやランニングコストとバランスの良い給与計算ソフトを選びましょう。

 

  • 既存システムとの整合性

すでに利用している給与計算関連ソフトがある場合には、新たに導入しようとしている給与計算ソフトとの整合性や、データ連携の可能性も重要なポイントです。

 

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2023年7月26日

社会保険労務士 柳田 恵一

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