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【監修付き】介護保険料の支払は具体的にいつからいくら?扶養家族による例外もあり!

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<介護保険料はいつから支払う?>

 

介護保険料の支払は、40歳になった月から発生します。

実は、この「40歳になった月」というのが曲者なのです。

 

  • 40歳の誕生日の前日が属する月分から?

 

私たちは日常生活で、誕生日に1つ歳をとるものと考えています。

しかし法律上は、誕生日の前日の「午後12時」(24時0分0秒)に歳をとります。「前日午後12時」と「当日午前0時」は時刻としては同じですが、厳密には日付が違うという考え方です。

 

学校でも、4月2日生まれから翌年4月1日生まれまでを1学年としています。4月1日から翌年3月31日までの間に○歳になる生徒の集団ということです。

これはおそらく「誕生日に年をとる」だと、2月29日生まれの人は、4年に1回しか歳をとらないので不都合だからです。2月29日生まれの人については、前日の2月28日に歳をとることにして、救済したいということなのでしょう。

 

こうして介護保険でも、40歳に達した日とは「40歳の誕生日の前日」を指します。ですから、介護保険料の負担も「40歳の誕生日の前日の属する月」からになるため、1日生まれの人については特に注意が必要です。1日生まれの人については、その前日が前月に含まれますから、40歳の誕生日の前月分から介護保険料が発生するのです。

 

  • 介護保険料支払の例

 

介護保険料の支払を開始するタイミングについて、具体的に見てみましょう。

 

・9月1日が誕生日の人

「40歳の誕生日の前日」は、8月31日です。ですから、8月分の支払から介護保険料の徴収が始まります。ここが、日常的な感覚と異なっている点です。

64歳までの健康保険加入者は、原則として介護保険料が健康保険料と合わせて徴収されます。健康保険料は翌月分の給与から控除されますので、8月分の介護保険料は9月に支払われる給与から控除されます。

 

・9月2日が誕生日の人

「40歳の誕生日の前日」は、9月1日です。ですから、9月分の支払から介護保険料の徴収が始まります。ここは、日常的な感覚と一致しています。9月分の介護保険料は10月に支払われる給与から控除されます。

 

<扶養家族の年齢によっては支払うケースも>

 

介護保険は、医療保険に加入している40歳以上65歳未満の人に保険料を支払う義務が生じるのが原則です。協会けんぽなどは、この原則に従っています。

しかし、健康保険組合によっては、規約により40歳未満の被保険者に40歳以上の扶養家族(被扶養者)の介護保険料の納付を求めている場合があります。

このような保険加入者を、健康保険法上「特定被保険者」と言っています。

詳しくは、それぞれの健康保険組合にご確認ください。

 

<介護保険料の金額>

 

さて、介護保険料は65歳以上の第1号被保険者と、40歳から64歳までの第2号被保険者とで、その扱いが異なります。

 

  • 第1号被保険者の場合

 

第1号被保険者の介護保険料は、区市町村ごとに計算される「基準額」と「本人・世帯の所得状況」によって決定されます。基準額は自治体によって異なりますし、残念ながら上昇傾向にありますので、各自治体の最新情報をご確認ください。

 

  • 第2号被保険者の場合

 

40歳から64歳の第2号被保険者は、加入する健康保険制度によって介護保険料の金額が異なります。

 

・会社員の場合

 

会社の健康保険に加入している人は、「標準報酬月額」によって介護保険料が決定されます。「標準報酬月額」とは、健康保険や厚生年金保険の保険料や支給額を決定する際に用いられる報酬区分を等級ごとに分けたものです。

これは原則として、毎年4月から6月までの給与の総支給額を「標準報酬月額表」の等級と照らし合わせて決定されます。標準報酬月額に介護保険料率を掛け合わせたものが介護保険料となります。

 

ちなみに、協会けんぽの場合には、令和5年3月分(5月1日納付期限分)から   1.82%となっています。

 

・自営業の場合

 

保険料の金額は、今現在の月々の所得ではなく、前年度の所得を基に計算されます。自営業の方の場合、一般的には収入が一定ではありませんので、現在の収入に見合わない保険料の金額となる場合もあります。このことは、会社を退職して独立を目指す方には、知っておいていただきたいことです。

 

・無職の場合

 

自営業の場合についての話は、会社を退職して無職になった方にとって、より切実な問題となります。もっとも、自治体によっては、退職により収入が減った場合、あるいは、無収入となった場合に、前年度の年収を0円として計算できるなどの特例が設けられていることもあります。これについては、退職する前に各自治体に確認しておきましょう。

 

<介護保険料を安くする方法>

 

会社の健康保険に加入している人は、「標準報酬月額」によって介護保険料が決定されますから、特別に保険料を安くする方法はありません。しかし、自営業の方で著しい収入減があった場合や、災害で大きな被害を受けた場合などには、自治体独自の減免措置を受けられることがあります。

 

<介護保険料を支払わなくてもいいケース>

 

介護保険料は、必ず支払わなければならないイメージですが、次の方々は支払う必要がありません。

・会社の健康保険に加入している人の扶養家族(被扶養者)

・短期滞在の外国人

・国内に住所のない海外居住者

・障害や難病を抱え適用除外施設に入っている人

・生活保護世帯の人

 

介護保険料は、医療保険料と一体的に徴収されます。生活保護世帯の場合、医療保険には入れませんので、医療保険料とともに介護保険料も支払うことがありません。

 

<介護保険料に関して知っておくべき注意点>

 

介護保険料の支払が遅れた場合には、ペナルティが課されますので注意が必要です。

 

  • 支払いが遅れた場合、ペナルティが発生する

 

介護保険料を滞納すると、納付期限以降20日以内に督促状が発行され、督促手数料や延滞金が発生するということになっています。

具体的な金額は地域によって変わります。

督促手数料は70円~100円ほどで、延滞金は納付期限の翌日から実際に納入された日までの日数に応じて計算されます。

万一、滞納期間が1年を過ぎると、自己負担額が10割となりますから、一時的にせよ「全額自己負担」となります。

 

  • 自営業や転職した方は注意が必要

 

会社を退職して自営業者となった場合や、転職した場合には、現在の収入に見合わない介護保険料となってしまうことがあります。自営業者となる場合には、あらかじめ自治体独自の減免措置について確認しておきましょう。また、転職する場合には、介護保険料だけのことではありませんが、しっかりとした生活設計を立てておきましょう。

 

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2023年9月11日

社会保険労務士 柳田 恵一

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