家族の病気で欠勤しがちな従業員への対応
<家族の病気による欠勤>
従業員本人が、ケガや病気の療養のために長期欠勤するのであれば、健康保険や労災保険の給付もあり、就業規則の休職制度に従った対応も可能です。
また、小学校就学前の子を養育する労働者は、事業主に申し出ることにより、1年度につき5日を限度として、子の看護休暇を取得することができます。ただし、対象となる子が2人以上の場合は10日を限度とします。しかし、これは日数が限られています。
さらに、病気がちな家族が、ケガ、病気、身体上・精神上の障害により、2週間以上にわたり常時介護を必要とする状態にある対象家族に該当するのであれば、介護休業の制度を利用することも考えられます。
しかし、定期的な通院に付き添うためであるとか、不定期に発症するため看護が必要になるなどの場合には、会社として何ができるでしょうか。
<年次有給休暇取得の特例>
私傷病による欠勤の場合には、事後の届出により、年次有給休暇に振り替えることができる旨の規定を就業規則に置いて運用している企業は多いのですが、これを従業員本人だけでなく、たとえば同居の親族に範囲を広げることも可能でしょう。
<自己申請による在宅勤務>
就業場所の指定は、就業規則や労働契約に基づき、使用者が行うべきものです。在宅勤務についても、使用者が労働者に命じて行わせるというのが本来の形です。
特例として、同居家族の看護が必要となった場合には、従業員からの申請に基づき、会社が承認して在宅勤務とする運用も可能です。
これもまた、就業規則や労働契約に具体的なルールを定めておくことになります。
<フレックスタイム制の運用>
就業規則に規定するほか、労使協定を交わしてフレックスタイム制を導入し運用することも考えられます。
対象となる従業員が1名の場合には、その従業員が労働者の過半数を代表する者として当事者となることができます。
<所定労働日数・時間の減少>
本来の所定労働日数や所定労働時間では、遅刻・早退・欠勤が多発するという場合には、従業員本人と会社とで協議のうえ、労働時間を減少する方向で労働条件の変更を合意することも可能です。
ただし、これは労働条件の不利益変更となる場合が多いので、遅刻・早退・欠勤が短期間に限られる見込みであるときには、お勧めできません。
<業務委託への切り替え>
業務内容にもよりますが、雇用契約から請負契約や委任契約に切り替えて、業務委託にすることも考えられます。
この場合には、その従業員は個人事業主となりますから、労働基準法をはじめとする労働法や社会保険・労働保険の適用がなくなります。また、確定申告などの手続きも本人が行うことになります。
慣れた仕事を継続できるメリットはあるものの、従業員の負担が大きくなりますので、慎重に検討したうえで実行に移したいです。
2024年4月19日
社会保険労務士 柳田 恵一
給与・勤怠・労務システムに関するご相談はこちら