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【監修付き】給与明細における電子化のメリット・デメリットや、導入手順を徹底解説

人事情報お役立ちブログ(毎週更新) 給与関連

<給与明細の電子化とは>

 

給与明細の電子化とは、紙ベースの給与明細をペーパーレス化することです。

給与明細を電子化する企業が増えているのは、企業にとってのメリットがあるだけでなく、給与計算にあたる労務担当者や給与明細を利用する従業員にとってもメリットが大きいからです。

しかし、電子化を進めるにあたっては、いくつかの注意点があります。また、電子化が完了した後も注意すべき点があります。

 

<給与明細を電子化することでできるようになること>

 

給与明細を電子化し、ペーパーレスにするということは、給与明細をPDFファイルなどで、直接従業員に閲覧させることができるようになることを意味します。企業も従業員も、保管場所や保管方法に悩むことなく、場所を取らずに保管することができますし、過去の給与明細を容易に検索することもできます。

 

企業にとっては、用紙代、印刷の経費、封筒代、郵送料などのコスト削減につながります。また、給与明細を作成する労務担当者は、他の従業員の目に触れないように気を遣って作業する必要がなくなりますし、封入や郵送の手配などの労力も不要となります。なにより、途中で紛失するリスクがないのは、大きなメリットでしょう。

 

勤怠管理システムを導入し、勤怠も電子化すれば、日々作成される勤怠情報と給与計算が連動され、給与明細に反映されますので、給与計算の人為的なミスを大幅に削減できます。

 

<給与明細の電子化のメリット>

 

給与明細を電子化した場合のメリットについて、具体的に見てみましょう。

 

  • 労務担当者にとってのメリット

 

まず、給与計算などを担当する労務担当者にとってのメリットとしては、業務負担の大幅な軽減が最大のものといえます。

給与明細の電子化によって負担が軽減される業務としては、次のようなものを挙げることができます。

 

・給与明細を印刷、封入、仕分け、送付する作業がなくなります。このうち仕分けというのは、勤務地、所属部署、正社員・パートなど契約形態の違いなどによって、細かく分類することをいいます。仕分けの途中でミスがあれば、仕分けのやり直しも発生しますし、これを防止するための二重チェックも必要ですが、給与明細の電子化によって、これらが不要となります。

 

・リモートワークの場合には、基本的に従業員の自宅に給与明細を郵送することになりますが、電子化された給与明細はメールで送信したり、ネット上で閲覧してもらったりすることになりますから、手間がかかりません。

 

・給与明細を紛失した従業員から再交付を依頼されることがなくなります。なぜなら、紛失すること自体、想定されなくなるからです。

 

・給与明細の配付ミスがあれば、お詫びと配付のやり直し、原因究明と再発防止などに思わぬ手間がかかってしまいます。給与明細の電子化は、こうしたトラブルを防げます。

 

このように、労務担当者の業務負担が大幅に軽減されるということは、用紙代や印刷の経費、封筒代や郵送料などだけでなく、人件費が大幅に削減されることを意味します。

 

  • 従業員にとってのメリット

 

つぎに、従業員にとって最大のメリットは、給与明細を手軽に確認できることと、紛失の恐れがないことでしょう。

給与明細の電子化によって、従業員が得られる具体的なメリットとしては、次のようなものを挙げることができます。

 

・紙の給与明細を見ていると、少なくとも給与明細を見ていることが、周囲の人達に知られてしまいますので、どうしても気を遣ってしまいます。しかし、電子化されていれば、いつでもどこでも周囲の目を気にすることなく、給与明細を閲覧することができます。

 

・紙の給与明細は毎月発行されるものです。これを自宅でファイリングして管理するのはかなり面倒ですし、それなりの保管スペースも必要となります。また、紛失して第三者の目に触れるのも避けたいところです。なぜなら給与明細には、給与の内容だけでなく、手当や控除など個人情報を推察させるデータが含まれているからです。電子化された給与明細であれば、ほとんど手間をかけずに適正な管理をすることが可能です。

 

・企業には、過去5年分の賃金台帳の保管が推奨されています。この期間を超えてデータを確実に残しておくには、従業員が個人的に管理する必要があるのです。給与明細を電子化すれば、こうしたことも容易になります。

 

<給与明細の電子化のデメリット>

 

給与明細を電子化した場合にも、デメリットがないわけではありません。これについても、具体的に見てみましょう。

 

  • 労務担当者にとってのデメリット

 

まず、給与計算などを担当する労務担当者にとってのデメリットとしては、情報漏洩やデータ改ざんの可能性を踏まえ、データ取扱のルールを徹底する必要があるということです。

これらは、紙の給与明細であっても、ある程度、要求されてきたことではあります。しかし、電子化によって外部からの攻撃を受けるリスクが高まることなどを踏まえ、より徹底する必要があります。

 

・データの管理方法やシステムの運用方法など、労務担当者が新たに覚えることもあります。これに伴い、遵守が求められる新たなルールが、いくつか設定されることになります。

 

・給与明細を電子化しても、従業員から要望があったときには、紙の給与明細を印刷して交付する必要があります。頻度の低いことですから、戸惑うことがないよう、マニュアル化しておくと良いでしょう。

 

  • 従業員にとってのデメリット

 

・電子化された給与明細は、ネット上で確認するものですから、パソコン、タブレット、スマートフォンなどの端末機器が必要になります。従業員がこれらを利用できない場合には、企業内のパソコンで閲覧するか、紙の給与明細を交付するなどが必要となります。

 

・住宅や車のローン契約を申し込む場合などは、収入を証明する書類として給与明細の提示を求められることがあります。この場合にも、個別に紙の給与明細を交付する必要があります。

 

この他、当然のことではありますが、給与明細を電子化するためのシステムを導入すると、その企業は初期費用やシステム利用料といった経費を負担することになります。

 

<給与明細の電子化の流れ>

 

給与明細を電子化する手順は、次のとおりです。

 

  • STEP1 電子化の対象を確定する

 

給与明細の他にも、源泉徴収票を電子化したり、勤怠データと連動させて年次有給休暇管理簿を電子化したりすることが考えられます。どこまで電子化するかによって、導入するシステムの選択が変わってきます。

源泉徴収票についても、ダブルワークや退職金の受け取りで確定申告が必要な従業員など、紙の源泉徴収票が必要となることがあります。従業員から請求された場合に交付できるようにするのか、従業員が自分で印刷できるようにするのかも考える必要があります。

 

  • STEP2 従業員から電子化の同意を得る

 

給与明細を電子化するには、各従業員の同意が必要であることが、所得税法に定められています。この同意は、トラブル防止のため、証拠の残る形で得ておく必要があります。同意の得られない従業員については、紙の給与明細を交付しなければなりません。

 

  • STEP3 最適なツールを選択する

 

給与明細を電子化するには、給与計算システムとの連携が必要です。すでに給与システムが導入されている企業では、データの連携方法などを確認しておく必要があります。

これから給与システムを導入する企業では、自社のニーズに合っているか、導入コストやランニングコストはどうか、セキュリティはしっかりしているか、他のシステムとの相性はどうかといった多角的な視点から検討する必要があります。

 

  • STEP4 従業員の使い勝手を考える

 

STEP2の従業員からの同意を得やすくするためにも、従業員の特性に合わせたツールとする必要があります。年齢層によっては、スマートフォンやタブレットの操作に不慣れであったり、文字の大きさに不安を抱えたりということもありますから、閲覧方法については、従業員の聞取り調査を行ったうえで、決定するのが無難でしょう。

また、従業員の職場や勤務形態の特性に合わせて、閲覧方法を選択できるようにしておくことをお勧めします。

 

<電子化する際の注意点>

 

これまで述べてきたことと重複する部分も多いですが、ここで給与明細を電子化するにあたっての注意点を見ておきましょう。

 

自社のニーズに合ったシステムを導入しましょう。コストを強く意識するあまり、必要な機能が備わっていないのでは、かえって経費の無駄遣いともなりかねません。反対に、不要な機能が多く含まれていても、使い勝手が悪くなりますし、やはり経費の無駄が生じます。また、システムの導入にあたる人員の配置も大きなポイントです。

 

ある程度まで概要が決まったなら、従業員への説明を開始し、同意が得やすい環境を整えておく必要があります。これと連動して、従業員の閲覧環境の確認と、利用できない従業員へのサポートも準備します。

 

給与明細の電子化には、セキュリティ対策が不可欠です。セキュリティ対策がしっかり取られているシステムを導入するだけでなく、社内ルールの整備や、従業員の教育もある程度必要となります。

 

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2023年10月18日

社会保険労務士 柳田 恵一

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