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【監修付き】年末調整で必要な書類は?書き方やスケジュールも解説

人事情報お役立ちブログ(毎週更新) 給与関連

「年末調整で必要な書類」には、従業員から提出してもらう書類と、企業から税務署、市町村に提出する書類があります。

それぞれ項目を分けて、順番に見ていきましょう。

 

<従業員から提出してもらう書類>

 

従業員やその家族の個人情報を、従業員に書いてもらい提出してもらう書類には、次のようなものがあります。どれもが、重要な個人情報を含みますので、保管を含め取扱には十分な注意が必要です。

これらは、企業内に保管する書類です。税務署や市町村に提出するものではありません。

 

  • 給与所得者の扶養控除等(異動) 申告書

 

扶養控除などを受けるのに必要な書類です。

年末調整では、扶養家族の人数などにより控除額が異なります。

従業員自身と扶養している配偶者や親族の氏名、生年月日、住んでいる市町村名、会社名、マイナンバーなどの情報を記載してもらいます。

従業員から記載方法について問合せがあった場合は、国税庁の《記載例》令和5年分扶養控除等申告書を参照してもらうか、これを参照しながら説明すると良いでしょう。

https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/gensen/pdf/r5bun_02.pdf

 

  • 給与所得者の配偶者控除等申告書(給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書)

 

従業員に配偶者がいる場合、配偶者の所得に応じて、配偶者控除や配偶者特別控除を受けるのに必要な書類です。

配偶者の氏名や生年月日、マイナンバー、その年の所得などの情報を記載してもらいます。

従業員から記載方法について問合せがあった場合は、国税庁の《記載例》令和4年分基礎控除申告書兼配偶者控除等申告書兼所得金額調整控除申告書を参照してもらうか、これを参照しながら説明すると良いでしょう。

https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/gensen/pdf/r5bun_07.pdf

 

  • 給与所得者の保険料控除申告書

 

生命保険や地震保険の保険料などを支払っている場合に、保険料控除を受けるのに必要な書類です。

支払った保険料の金額や保険会社名などを記載しもらいます。

保険会社が発行する控除証明書の添付が必要となります。

従業員から記載方法について問合せがあった場合は、国税庁の《記載例》令和4年分保険料控除申告書を参照してもらうか、これを参照しながら説明すると良いでしょう。

https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/gensen/pdf/r5bun_05.pdf

 

主な保険料控除には、次の4つがあります。

 

・地震保険料控除

 

保険会社の名称や保険の種類、地震保険料、旧長期損害保険料の金額を記載し、控除額となる合計額を算出し記載します。

 

・生命保険料控除

 

保険料控除証明書をもとに、一般生命保険料・介護医療保険料・個人年金保険料の区分で記載・計算し、控除額となる合計額を算出し記載します。

 

・社会保険料控除

 

従業員自身が給与から控除されている社会保険料は記載しません。

扶養している配偶者や親族の社会保険料を支払っているとき等の金額を記載します。

 

・小規模企業共済等掛金控除

 

それぞれの保険料を記載します。ただし、確定拠出年金の掛金が給与から控除されている場合には、記載する必要がありません。

 

  • 給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書

 

住宅を購入し、そのローンの支払をしている場合に、住宅ローン控除を受けるのに必要な書類です。

ただし、住宅ローン控除の適用を開始した年は、従業員が自分で確定申告を行いますので、年末調整で控除できるのは、2年目以降となります。

 

従業員が確定申告をすると、この申告書と「年末調整のための(特定増改築等)住宅借入金等特別控除証明書兼給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書」が税務署から送られてきます。一方で、金融機関からは「住宅取得資金に係る借入金の年末残高証明書」が送られてきます。両者の金額が合致しているか確認します。

 

従業員は、「給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書兼(特定増改築等)住宅借入金等特別控除計算明細書」の必要事項を記入し、住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書とあわせて勤務先に提出します。

場合によって、記載方法が異なり、やや複雑なのですが、やはり国税庁ホームページ「年末調整で(特定増改築等)住宅借入金等特別控除の適用を受ける方へ」が参考となります。

https://www.nta.go.jp/publication/pamph/shotoku/jukari/index.htm

 

<税務署に提出する書類>

 

給与計算担当部門で作成し、税務署に提出する書類には次のものがあります。

 

  • 給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表

 

1年間の給与額の合計、控除した所得税の金額、税理士や弁護士など外部に支払った1年間の報酬金額や、徴収した所得税の金額などを記載した書類です。

翌年の1月31日までに作成し税務署に提出します。

 

  • 支払調書

 

支払金額が基準を超える支払調書は、税務署に提出する必要があります。

 

・報酬、料金、契約金および賞金の支払調書

 

1年間で5万円を超える場合に、税務署に提出します。

弁護士や税理士など、源泉徴収の対象となる報酬・料金等の支払をした場合の支払調書です。

1年間の報酬金額や源泉徴収税の金額を記入します。

 

・不動産の使用料等の支払調書

 

同一人に対するその年中の支払金額の合計が、15万円を超える場合に税務署に提出します。

ただし、法人、法人格のない社団等に支払う不動産の使用料等については、賃借料を除く権利金、更新料等が対象となります。したがって、法人に対して、家賃や賃借料のみを支払っている場合は、支払調書の提出は必要ありません。

借主や借りている不動産の情報、支払金額を記入します。

 

・不動産等の譲受けの対価の支払調書

 

法人か一定の不動産業者である個人に対して、1年間の支払金額が100万円を超える場合に税務署に提出します。

不動産を購入した場合に作成します。購入した不動産の情報や金額を記入します。

 

・不動産等の売買又は貸付けのあっせん手数料の支払調書

 

法人か一定の不動産業者である個人に対して、1年間の支払金額が15万円を超える場合に税務署に提出します。

不動産に関するあっせん手数料を支払った場合に作成します。支払先や金額を記入します。

 

  • 源泉徴収票

 

役員や従業員などに1年間に支払った報酬や給与などの金額を、個人別に集計した帳票です。

税務署に提出が必要な源泉徴収票には、次の2つがあります。

 

・給与所得の源泉徴収票

 

個人別に、給与や賞与などの1年間の金額や、社会保険料など所得控除の金額などを記載します。

年末調整をしている場合は、1年間の支払額が、役員で150万円を超える人、一般の従業員で500万円を超える人の分を、税務署に提出します。

 

・退職所得の源泉徴収票

 

「退職所得」というのは、退職金のことです。その年に退職金の支払があった場合に、退職金の額や退職所得控除などを記載します。

 

「退職所得の源泉徴収票」は、受給者交付用と税務署提出用に加え、市町村に提出するための「特別徴収票」を兼ねていることから、正式名称は「退職所得の源泉徴収票・特別徴収票」ですが、「退職所得の源泉徴収票等」と呼ばれています。

 

これを税務署に提出しなければならないのは、法人の役員に対して退職金、一時恩給、その他これらの性質を有する給与の支払をする場合です。

 

ただし、死亡退職により退職金等を支払った場合は、相続税法の規定による「退職手当金等受給者別支払調書」を提出することになりますので、この場合には提出する必要がありません。

 

<市町村に提出する書類>

 

年末調整では、市町村に提出が必要な「給与支払報告書」という書類があります。これは、従業員が住んでいる市町村が、住民税の計算に使用する重要な書類です。給与支払報告書には総括表と個人別明細書があり、どちらも翌年の1月31日が提出期限です。

 

・給与支払報告書(総括表)

 

従業員が住んでいる市町村ごとに作成する総括表です。

給与支払者(企業名)や所在地、全従業員数、その市町村の居住者数などを記載します。

 

・給与支払報告書(個人別明細書)

 

従業員の給与・賞与などの1年間の金額、社会保険料などの所得控除の金額などを記載します。記載内容は源泉徴収票と同じです。

 

<年末調整のスケジュール>

 

年末調整のスケジュールは、従業員からの書類の集まり具合など各企業の事情を踏まえ、試行錯誤を繰り返す面があります。しかし、一般的なものを簡単に示しておきます。

 

時 期 内  容
11月 ・年末調整手続の社内告知

・申告書と添付書類の回収

12月 ・年末調整の計算業務

・年調還付、年調不足の徴収

翌年1月 ・源泉所得税の納付(20日まで)

・法定調書合計表、給与支払報告書の提出

・年末調整関連書類の整理・保管(7年間)

 

「【監修付き】年末調整のスケジュールは?退職者がいた場合の対応方法も解説」で詳しく解説します。

 

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年末調整業務のスケジュールはタイトなものです。税務署や市町村への書類の提出や源泉所得税の納付は待ったなしです。一方で、従業員からの申告書や添付書類の回収が進まずに焦ってしまうことがあるでしょう。

しかも、年末調整業務だけに専念できるわけではなく、他の業務と並行して行う必要があります。紙ベースでの手作業では効率が上がりません。その一部でも電子化すれば業務効率が向上することは明らかでしょう。さらに、広範囲で一括して電子化を進めてこそ、生産性の向上が期待できるのです。

 

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STEP1 従業員が基本情報を入力

従業員ごとにマイページを発行。従業員は基本情報を入力していくだけで、提出ができます。

 

STEP2 人事・労務が登録情報を確認

従業員が入力した情報の確認を行います。不備や未提出のステータスの絞り込みや一斉修正依頼メールの送信が可能です

 

STEP3 人事・労務が承認

入力内容が確認出来たら、承認ボタンを押して完了

 

細かなデータの確認や源泉徴収票の自動作成ができ、提出も電子申告が可能です。自動計算だけではなく、源泉徴収票、給与支払報告書などその他の業務はデイフォースが対応するため、従来の年末調整とは比較にならない効率化が可能になります。

 

2023年10月23日

社会保険労務士 柳田 恵一

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