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給与支払報告書とは?作成方法や提出方法も解説します。

人事情報お役立ちブログ(毎週更新) 給与関連

企業の給与計算担当部門は、給与支払報告書を作成し、各市町村に提出する役割を担っています。この書類は、従業員の住民税に関わる重要な書類です。 

 

給与支払報告書とは 

給与支払報告書とは、法定調書の一種であり、従業員に給与を支払った企業が、各従業員の住んでいる市町村に、給与等の金額を報告するために提出する書類です。給与支払報告書は、個人別明細書と総括表の2種類の書類で構成されています。 

 

●給与支払報告書の内容 

個人別明細書は、従業員の氏名や住所、給与の金額や保険料の控除などの個人情報を記載した書類です。記載内容は基本的に源泉徴収票と同じで、一人1枚作成します。 

総括表は、個人別明細書をまとめた表紙のようなものです。従業員の居住する市町村ごとに1枚作成します。 

●給与支払報告書の必要性 

給与支払報告書は、市町村が従業員の住民税額を計算するために必要な書類です。 

従業員の給与額や所得控除の額などが記載されており、これをもとに市町村は住民税の課税基準と個人住民税の金額を決定します。 

年末調整後に作成する書類で、記載内容は基本的に源泉徴収票と同じですが、作成する目的や提出先が異なります。 

●給与支払報告書の提出対象者 

給与支払報告書の作成・提出対象者は、前年中に給与を支払ったすべての従業員です。 

雇用形態や支払額・支払回数に関係なく、退職者や1回だけ給与をもらった人も含まれます。ただし、退職者については、1年間に支払った給与の総額が30万円以下であれば、市町村によっては、提出が免除される場合があります。 

 

給与支払報告書の作成方法 

 

給与支払報告書は、総括表の様式が市町村によって異なることがありますので、各市町村のホームページなどでダウンロードします。 

個人別明細書の内容は、源泉徴収票をもとに記載します。 

ただし、年末調整をしていない従業員の場合は、給与所得控除後の金額や所得控除の額の合計額などは空欄にします。また、退職者や普通徴収の対象者の場合は、摘要欄にその事情を記入します。 

手書きで作成する場合には、源泉徴収票を含めた4枚複写の様式がありますので、これを使用すれば効率よく作成できます。 

 

総括表の内容は、市町村によって異なる可能性があります。提出先の市町村が提示する記入例を確認しましょう。総括表には、報告人員の中に含まれる退職者の人数や普通徴収の対象者の人数などを記載します。 

 

●必要な情報と書類 

 

給与支払報告書の作成に必要な情報と書類は、次のとおりです。 

個人別明細書の作成に必要な書類は、年末調整で従業員から提出された次の3つの書類です。 

・給与所得者の扶養控除等(異動)申告書 

・給与所得者の保険料控除申告書 

・給与所得者の基礎控除申告 兼 給与所得者の配偶者控除等申告 兼 所得金額調整控除申告の概要 

 

総括表の作成には、個人別明細書の情報を参考にします。 

 

●ステップバイステップの作成ガイド 

個人別明細書と総括表のそれぞれについて、具体的な作成方法を見ておきましょう。 

 

個人別明細書の作成方法

 

ここでは、Dayforce Japan 株式会社のある東京都千代田区の様式を例に解説します。 

出典:東京都千代田区ホームページ 

https://www.city.chiyoda.lg.jp/documents/10883/r6kyuyoshiharai-2.pdf 

 

・支払を受ける者 

受給者番号、住所、個人情報(マイナンバー)、役職名、氏名を記入します。受給者番号は、企業が社員に付けている番号のことです。なければ空欄のままにします。役職がない場合も空欄のままにします。 

 

・給与・賞与 

年末調整で計算した従業員の給与・賞与支給額、給与所得の金額、所得控除の合計額、源泉徴収税額を記入します。年末調整をしていない場合は、実際に徴収した合計額を記入します。 

 

・配偶者控除 

(源泉)控除対象配偶者の有無を記入します。なお、配偶者控除が適用される配偶者の年齢が70歳以上でしたら老人欄にも〇をつけます。適用した場合は控除額を記入します。 

 

・控除対象扶養親族(配偶者をのぞく) 

配偶者以外の扶養親族の人数および、障害者控除の対象者がいる場合にその人数を記入します。 

 

・所得控除 

年末調整で計算した社会保険料等控除、生命保険料控除、地震保険料控除、住宅ローン控除額をそれぞれ記載します。 

 

・生命保険料の金額の内訳 

年末調整で生命保険料控除の対象となった保険料の支払額を記入します。 

 

・住宅借入金等特別控除の額の内訳 

年末調整で住宅ローン控除の適用を受けた場合に、その詳細を記入します。 

 

・(源泉・特別)控除対象配偶者 

配偶者控除の対象となる配偶者の氏名と個人番号(マイナンバー)を記入します。 

 

・配偶者の合計所得と各控除額 

配偶者控除または配偶者特別控除の対象となる配偶者の合計所得金額を記入します。 

 

・控除対象扶養親族 

扶養控除の対象となる扶養親族の氏名と個人番号(マイナンバー)を記入します。 

書ききれない5人目以降については、右端の欄に記入します。 

 

16歳未満の扶養親族 

扶養控除の対象となる扶養親族の氏名と個人番号(マイナンバー)を記入します。 

書ききれない5人目以降については、右端の欄に記入します。 

 

・未成年者~勤労学生 

給与支払を受けた従業員本人に該当するものがある場合に、〇を記入します。 

 

・中途就・退職 

従業員が年の中途に入社した場合は入社日を、中途退職した場合には退職日を記入します。 

 

・受給者生年月日 

給与支払を受けた従業員本人の生年月日を記入します。 

 

総括表の作成方法

 

出典:総務省ホームページ 

https://www.soumu.go.jp/main_content/000397106.pdf 

 

・指定番号 

提出先の市町村が定める指定番号を記入します。 

・給与の支払期間 

報告人員の合計欄で計上された人員に給与を支払った期間を記入します。 

 

・給与支払者の個人番号又は法人番号 

給与支払者の個人番号(行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律第2条第5項に規定する個人番号をいう。以下同じ。)又は法人番号(同条第15項に規定する法人番号をいう。)を記入します。 

なお、個人番号を記載する場合は、左側を1文字空けて記入します。 

 

・給与支払者が法人である場合の代表者の氏名 

経理責任者の職氏名を記入します。給与支払者が国の機関である場合には、国の機関名を記入します。 

・連絡者の氏名、所属課、係名及び電話番号 

この報告書について応答する者の氏名、所属課、係名及びその電話番号を記入します。 

 

・関与税理士等の氏名及び電話番号 

税理士等が報告書を作成する場合に、報告書に関する問合せ先となる税理士等の氏名及び電話番号を記入します。 

 

・受給者総人員 

11日現在において給与の支払をする事務所、事業所等から給与等の支払を受けている者の総人員を記入します。 

 

・特別徴収対象者 

提出先の市町村に対して給与支払報告書(個人別明細書)を提出する者で、特別徴収の対象となるものの人員を記入します。 

 

・普通徴収対象者(退職者) 

提出先の市町村に対して給与支払報告書(個人別明細書)を提出する者で、普通徴収の対象となるもののうち退職者の人員を記入します。 

 

・普通徴収対象者(退職者を除く) 

提出先の市町村に対して給与支払報告書(個人別明細書)を提出する者で、普通徴収の対象となるもののうち退職者を除いた人員を記入します。 

 

・報告人員の合計 

特別徴収対象者欄、普通徴収対象者(退職者)欄及び普通徴収対象者(退職者を除く)欄の人員の合計を記入します。 

 

・給与の支払方法及びその期日 

月給、週給等及び毎月20日、毎週月曜日等と記入します。 

 

給与支払報告書の提出方法と期限 

給与支払報告書の提出方法と期限については、次のとおりです。 

 

●提出方法 

 

提出方法は、郵送や持参のほか、eLTAX(地方税共通納税システム)を利用することで、電子的に作成・提出できます。 

 

eLTAX(エルタックス)については、こちらをご参照ください。 

https://www.eltax.lta.go.jp/kyoutsuunouzei/gaiyou/ 

 

●提出期限と遅れた場合の対処法 

 

給与支払報告書の作成は年末調整後に行い、翌年1月31日(31日が土日祝日の場合は翌平日)までに、1月1日時点で従業員の居住する市町村に提出します。 

 

給与支払報告書の提出期限に、万一遅れた場合には、遅れた理由を市町村に説明し、できるだけ早く給与支払報告書を提出するようにしましょう。市町村によっては、遅延に対する罰則がある場合がありますが、事情を説明すれば寛大に処理してくれる可能性もあります。 

 

給与支払報告書を提出しないと、従業員の住民税の計算ができません。大幅に遅れてしまった場合には、従業員に自分で確定申告をするようお願いすることになります。確定申告をしてもらうことで、給与所得の内容が市町村に伝わり、住民税の課税額が決まります。 

 

給与支払報告書を提出しなかった場合には、1年以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられることもあるため、提出期限を守り、不備がないよう提出しましょう。 

 

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住民税の計算は、毎年1月31日までに各企業から各市町村に提出している「給与支払報告書」に、誤りが含まれていないということが前提となっています。ここにミスがあれば、それがそのまま住民税の誤りに反映されてしまいます。 

 

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2024年5月17日

社会保険労務士 柳田 恵一

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