住民税の特別徴収と普通徴収の違いは?
「普通徴収」と「特別徴収」は、住民税の納付方法のことを言っています。それぞれに、メリットとデメリットがあります。
普通徴収と特別徴収の概要
普通徴収は、納税者が自分で市町村に住民税を納める方法です。特別徴収は、事業主が給与から住民税を控除して納付する方法です。一般的に、給与所得者は特別徴収、給与所得以外の人は普通徴収になります。
●普通徴収
住民税の普通徴収は、納税者が自分で市町村に住民税を納める方法です。
この場合の納付期限は年に4回で、納付書により支払います。現金のほか、クレジットカードを使って支払うこともできます。
普通徴収になる人は、給与所得以外の所得がある人や、退職や転職などで給与所得者でなくなった人などです。
●普通徴収のメリット
普通徴収のメリットとしては、次のような点が挙げられます。
期限内であれば、納税者の好きなタイミングで納付できます。コンビニに立ち寄ったついでに支払うこともできて便利です。
一括納付や分納を自由に選択できます。金額や回数など、納税者にとって、負担が軽いと判断する方法で納付できます。
クレジットカードで納付する場合には、ポイントが貯まるなどのメリットが得られます。
●普通徴収のデメリット
普通徴収のデメリットとしては、次のような点が挙げられます。
年間の住民税額を4回に分けて納付するため、1回あたりの納税金額が高く負担感が大きくなります。
納付方法や納税金額を、納税者が自分で確認し、納付期限を忘れないように自分で管理しなければなりません。
納付期限を過ぎると延滞金が発生し、督促状が送られてくる可能性があります。つまり、納税を忘れることによる滞納リスクがあります。
●特別徴収
住民税の特別徴収は、給与所得者の住民税を、勤務先の事業主が毎月の給与から控除して納付する方法です。
事業主には特別徴収の義務があり、給与所得者には特別徴収による納付が原則となります。
●特別徴収のメリット
特別徴収のメリットとしては、次のような点が挙げられます。
給与からの天引きによって納めることができるので、住民税を納め忘れることがありません。
毎月の徴収となるため、1回あたりの納税額が少ないため、年4回の普通徴収と比べて税の負担感が少なくなります。
●特別徴収のデメリット
特別徴収のデメリットとしては、次のような点が挙げられます。
事業主にとっては、給与計算や納付の手続きが煩雑になります。
給与からの天引きによって納付するので、納税者はクレジットカードで、ポイントを貯めるような特典を得ることができません。
納税者が副業・兼業をしている場合、会社に知られてしまう可能性はあります。
特別徴収と普通徴収の比較
特別徴収と普通徴収とは、住民税の納付方法の違いに過ぎませんが、いくつかの視点から比較してみましょう。
●納付方法の違い
普通徴収では、納税者が市町村から交付された納付通知書を使って、自分で納付することになります。クレジットカードなどで支払える市町村もあります。
特別徴収では、会社の給与計算担当者などが、従業員の給与から月々の住民税を控除し、翌月10日までに各市町村に納付しています。
●納付回数と金額
普通徴収では、納税者が年4回の納付期限(6,8,10,1月)までに納付します。まとめて納付することもできますが、これによる割引などはありません。
特別徴収では、従業員の月々の給与から、年に12回に分けて徴収されるのが原則です。
住民税は、前年の所得に応じて決められていますので、納付回数が少なければ1回の納付金額は多くなりますし、納付回数が多ければ1回の納付金額は少なくなるのですが、その合計額には差がありません。
●納付手続の負担
普通徴収では、納税者が自分で納税の管理を行いますし、納税手続も自分で行います。
特別徴収では、会社の給与計算担当者などが、市町村から交付される住民税の決定通知書に従って、住民税を給与から控除し、それぞれの納付書に従って納付する手続の負担を負うことになります。
まとめ
従業員は給与所得者ですから、特別徴収が原則となります。
会社は、給与計算とともに、従業員に代わって、住民税の納付手続を行うことになりますから責任重大です。
具体的なことは、「【監修付き】給与計算における住民税とは?住民税の控除方法や納付方法などプロが解説します」をご参照ください。
2024年4月2日
社会保険労務士 柳田 恵一
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