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【監修付き】源泉徴収簿とは?作成方法や書き方、源泉徴収票との違いなども解説

人事情報お役立ちブログ(毎週更新) 給与関連

源泉徴収簿は、法定の帳簿ではないにもかかわらず、年末調整業務には欠かせないと言われます。これだけでも不思議な存在ですが、詳しく見ていきましょう。

 

源泉徴収簿とは

源泉徴収簿は、給与や賞与などの所得や、社会保険料などの控除額を記入し、正しい所得税額を算出するための帳簿です。

年末調整の際に発行する源泉徴収票を、不備なく作成するために用いられます。年末調整の根拠として利用した場合は、7年間保存する義務があります。

 

源泉徴収票との違い

源泉徴収票と源泉徴収簿は、どちらも、給与所得に対する所得税の計算や納付に関するものです。しかし、次のような違いがあります。

 

●源泉徴収票

源泉徴収票は、1年分の給与や賞与、源泉徴収税額などを集計して従業員に交付する証明書で、所得税法で定められた「事業主が発行する所得税証明書」です。源泉徴収票は、国税庁が定めた書式に従って作成し、従業員に対しては翌年1月末までに、税務署に対しては翌年2月末までに提出する義務があります。

 

●源泉徴収簿

源泉徴収簿は、毎月の給与や賞与、源泉徴収税額などを記入する帳簿で、年末調整の際に源泉徴収票を作成するための基礎となります。源泉徴収簿は法律で定められた帳簿ではないため、書式は自由ですが、国税庁が提供する書式を利用すると便利です。

 

なぜ源泉徴収簿が必要なのか?

源泉徴収簿が必要となるのは、年末調整や源泉徴収票の作成を正確かつ効率的に行うためです。

源泉徴収簿には、給与や賞与、社会保険料、源泉徴収税額などの情報が記録されており、これらをもとに所得税額を計算します。

源泉徴収簿がないと、給与明細を一つずつ確認して集計する必要があり、手間がかかるだけでなく、ミスが発生する可能性も高くなります。

 

源泉徴収簿の作成手順

国税庁が提供する書式を利用した源泉徴収簿の作成手順は以下の通りです。

 

●用紙の準備

まず、国税庁が提供する書式をダウンロードして、社員の数だけ用紙を用意します。

【令和6年分給与所得に対する源泉徴収簿】

出典:国税庁ホームページ 給与所得・退職所得に対する源泉徴収簿の作成
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/gensen/pdf/2024bun_03.pdf

 

●個人情報の記入

所属、職名、住所、氏名を記入します。

 

●給与情報の記入

給与の支給月日、総支給額、社会保険料の控除額、社会保険料控除後の給与等の金額を記入します。

 

●扶養家族の記入

扶養家族がいる場合、扶養家族の人数と算出税額を記入します。

 

●賞与情報の記入

賞与の支給月日、総支給額、社会保険料の控除額、社会保険料控除後の給与等の金額を記入します。

 

●給与と賞与の合計を記入

給与手当等、賞与等の部分に本年度の合計金額を記入します。

 

●給与所得控除後の給与等の金額を記入

給与所得控除後の給与等の金額を算出し記入します。

 

●扶養家族の情報を記入

「扶養控除等の申告」の欄の「申告の有無」に丸をつけて、申告内容を記入します。

 

●扶養家族の情報を基に控除額を記入

扶養家族の情報を基に、控除額を計算し「配偶者控除額、扶養控除、基礎控除額及び、障害者等の控除額の合計額」に金額を記入します。

 

●保険料控除申告書の情報を記入

「保険料控除申告書」を基に、「保険料」の欄に控除額を記入します。

 

●本年度の算出所得税額を計算し記入

「給与所得控除後の給与などの金額」から「所得控除額の合計金額」を差し引き、算出所得税額を計算して記入します。

 

●本年度の税額を計算し記入

東日本大震災の復興支援として、復興特別所得税が加算されますので、算出所得税の金額に1.021を乗じた金額が年調年税額となります。

 

それぞれの具体的な記入方法は、次の「源泉徴収簿を使用した年末調整の手順」を参照してください。

【源泉徴収簿を使用した年末調整の手順】
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/nencho2022/pdf/21.pdf

 

年末調整や賃金台帳との関連性

年末調整や賃金台帳と源泉徴収簿とは、次のような関連性があります。

 

●年末調整と源泉徴収簿

年末調整は、給与所得者の1年間の所得税額を確定する手続です。

源泉徴収簿は、給与や賞与、社会保険料、源泉徴収税額などを記録しておく帳簿で、年末調整のための基礎となります。

年末調整を行うには、給与所得者から扶養控除等申告書、基礎控除申告書、配偶者控除等申告書などを提出してもらい、それらの情報と源泉徴収簿の情報をもとに、所得税額を計算します。

 

●賃金台帳と源泉徴収簿

賃金台帳と源泉徴収簿は、給与や賞与などの支払に関する帳簿という点で共通しています。しかし、それぞれの目的や記入事項が異なります。

賃金台帳は、労働基準法で作成と保管が義務付けられており、給与の計算の基礎と結果を表します。源泉徴収簿は、所得税法で定められた「事業主が発行する所得税証明書」であり、年末調整のための基礎となります。

 

●正確な年末調整のためのポイント

正確な年末調整を行うためには、次のポイントに注意する必要があります。

 

  • 給与所得者から必要な申告書を受け取る。
  • 給与総額、徴収税額、各種控除額などを正しく計算する。
  • 源泉徴収簿や源泉徴収票を作成し保存する。
  • 電子化や自動化のツールを活用する。

 

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「正確な年末調整のためのポイント」にも示したように、正確で効率の良い年末調整を行うには、電子化や自動化のツールを活用するのがポイントとなります。たしかに、年末調整業務の電子化は、基本的には義務ではないのですが、その一部でも電子化すれば業務効率が向上することは明らかでしょう。しかし、広範囲で一括して電子化を進めてこそ、生産性の向上が期待できるのです。

また、国税庁が無償で配布するソフトを利用して、自社で電子化を進めることも可能ではありますが、法改正などに対応したバージョンアップも自社で行わなければなりません。

 

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STEP1 従業員が基本情報を入力

従業員ごとにマイページを発行。従業員は基本情報を入力していくだけで、提出ができます。

 

STEP2 人事・労務が登録情報を確認

従業員が入力した情報の確認を行います。不備や未提出のステータスの絞り込みや一斉修正依頼メールの送信が可能です

 

STEP3 人事・労務が承認

入力内容が確認出来たら、承認ボタンを押して完了

 

細かなデータの確認や源泉徴収票の自動作成ができ、提出も電子申告が可能です。自動計算だけではなく、源泉徴収票、給与支払報告書などその他の業務はデイフォースが対応するため、従来の年末調整とは比較にならない効率化が可能になります。

 

2024年3月15日

社会保険労務士 柳田 恵一

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