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【監修付き】年末調整の時期と期限は?退職者がいた場合の対応方法も解説

人事情報お役立ちブログ(毎週更新) 給与関連

年末調整手続は、企業内ですべてが完結するものではありません。税務署、市町村といった外部への書類等の提出が必要となります。しかも、厳格な提出期限がありますから、しっかりとスケジュールを立て、これを守りながら進めなければなりません。

 

<年末調整手続での提出期限とスケジュール>

 

年末調整手続での税務署や市町村への最終的な提出期限と、提出までの一般的なスケジュールを見ておきましょう。

 

  • 年末調整手続での提出期限

 

源泉所得税の税務署への納付期限は翌年1月10日(特例により20日)、年末調整関係書類等の市町村への提出期限は翌年1月31日です。年末調整手続を行う皆さんは、この最終期限に向けて忙しく作業を進めることになります。

 

企業などの給与支払者は、前年の給与支払額を法定調書として税務署に届け出ます。これには前年の給与等の支払額が500万円を超える従業員の源泉徴収票を添付します。

一方で、住民税の計算のための給与支払報告書を市町村に提出します。

 

  • 年末調整手続のスケジュール

 

年末調整関連業務のスケジュールを考える場合には、税務署や市町村の締切から遡って考えることになりますから、企業によって違ってくるのですが、次に一般的なスケジュールを示しておきましょう。

 

時 期 内  容
11月 ・年末調整手続の社内告知

・従業員への申告書と添付書類の提出依頼

・従業員からの申告書と添付書類の回収

・修正依頼等従業員への個別対応

・年内に支払う給与の確定

12月 ・年末調整関連の計算業務

・年調還付、年調不足の徴収(所得税の過不足調整)

・法定調書、支払調書、源泉徴収票など年末調整関連書類(データ)の準備

翌年1月 ・源泉所得税の納付(原則10日、特例により20日)

・税務署への年末調整関係書類の提出

・市町村への住民税関係書類の提出

・年末調整関連書類の整理・保管(7年間)

 

年末調整関連業務を、手作業中心で行っている場合には、このスケジュールがギリギリの線だと思われます。一方で、電子化が進んでいる企業では、かなり余裕をもったスケジュールとなるでしょう。

 

スケジュールの内容欄についても、簡単に確認しておきましょう。

 

・年末調整手続の社内告知

 

年末調整手続は、中心となって進める担当部署にとっては、恒例行事なのですが、一般の従業員はあまり認識していないものです。年末調整の概要と手続のスケジュールを社内に告知し、関連する書類が手元に届いたときに、従業員が確実に保管しておくなど、注意を促しておきましょう。

 

・従業員への申告書と添付書類の提出依頼

 

どのタイミングで提出を依頼し、いつを締切とするのが最適かは、各企業の実情によって異なります。

たとえば、書類などの提出期限を、本当にギリギリのデッドラインで告知するのが慣例となっている職場と、締切を守らない従業員が多いからと、かなり早めに依頼して余裕を持たせた締切を設定する職場とでは、スケジュールが大きく異なってきます。

必要書類については、「【監修付き】年末調整で必要な書類は?書き方やスケジュールも解説」で詳しく解説しています。

 

・従業員からの申告書と添付書類の回収

 

いつも同じ従業員が締切を守らず、上司から催促してもらうなどの手間がかかります。年末調整関連の業務では、もっともヤキモキする点かもしれません。

 

・修正依頼等従業員への個別対応

 

従業員から提出された申告書に誤りがあったり、添付書類に不備があったりなど、従業員ごとに修正・再提出依頼などの個別対応をする必要があります。

 

・年内に支払う給与の確定

 

年内最後に支給する給与を確定し、賞与を含む年間の給与を確定させます。

これは、給与の計算期間(締日)や支給日によって、具体的なスケジュールが変わってきます。

 

・年末調整関連の計算業務

 

申告書や証明書などの添付書類から、控除額が確定しますので、その従業員の所得税を計算することができます。

 

・年調還付、年調不足の徴収(所得税の過不足調整)

 

月々の給与や賞与から、控除(源泉徴収)してきた仮の所得税と、年間所得に応じた正しい所得税との差額を、12月支給分の給与で調整します。

 

・法定調書、支払調書、源泉徴収票など年末調整関連書類(データ)の準備

 

この段階で、内容が確定していますので、年末調整関連書類を作成します。電子化されている部分については、データでの準備ということになります。

 

・源泉所得税の納付(原則10日、特例により20日)

 

源泉徴収した所得税および復興特別所得税は、原則として、給与などを実際に支払った月の翌月10日までに国に納めなければなりません。

ただし、給与の支給人員が常時10人未満の源泉徴収義務者は、源泉徴収した所得税および復興特別所得税を、半年分まとめて納めることができる特例があります。この特例を受ける場合には、源泉徴収税の納付期限が1月20日となります。

この特例を受けない場合には、源泉徴収税の納付期限は原則通り1月10日となります。

参照:国税庁ホームページ タックスアンサー(よくある税の質問) No.2505 源泉所得税及び復興特別所得税の納付期限と納期の特例

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2505.htm

 

・税務署への年末調整関係書類の提出

 

具体的な提出書類については、別稿の「【監修付き】年末調整で必要な書類は?書き方やスケジュールも解説」をご参照ください。

 

・市町村への住民税関係書類の提出

 

各市町村に、給与支払報告書(総括表)と給与支払報告書(個人別明細書)を提出します。

 

・年末調整関連書類の整理・保管(7年間)

 

年末調整関連書類は、源泉所得税の税務署への原則的な納付期限である翌年1月10日の翌日から7年間保存することが義務付けられています。

また万一、税務署長から求められた場合には、提出が必要となることがあります。

 

<入退社した従業員の年末調整>

 

入社または退職した従業員については、12月の給与支給の有無によって、その取扱が異なります。これは、入退社日と給与の締日・支給日によって決まってきます。

 

・12月に入社した従業員の年末調整

 

年内に給与の支給があれば、入社後の企業で年末調整を行います。

年内に給与の支給がなければ、入社後の企業では年末調整を行いません。この場合、年内最後の給与の支給が前職の企業で行われるのであれば、前職の企業が年末調整を行うことになります。

 

・12月に退職した従業員の年末調整

 

年内に転職し、転職先の企業で給与の支給があれば、転職先の企業で年末調整を行います。

年内に転職しても、年内に転職先の企業で給与の支給がなければ、前職の企業が退職時に発行した源泉徴収票を使って、支払保険料などを確定申告で精算します。ただし、特に精算するものがない場合で、退職時の源泉徴収票で年末調整が行われているときは、それで年末調整が完了となります。

 

  • 11月までに退職した従業員の年末調整

 

年末調整は、年内最後の12月に支給された給与の金額が確定した時点で、企業が従業員のその年の所得税額を確定し、国に申告するものです。

 

なぜ年末かというと、給与や賞与から源泉徴収される所得税は、扶養家族の人数、社会保険料などを暫定的に設定して計算しているため、年内最後の12月の給与支給後に正しい所得税を計算し直し、過不足を精算する必要があるからです。

 

こうして、年内最後の12月の給与を支払う企業が年末調整を行い、従業員は個人的に確定申告をしなくても済むのです。ですから、12月時点で企業に勤務していない場合には、年末調整が行われません。

 

結論として、11月までに退職し、12月の時点で別の企業に在籍していなければ、退職した企業で発行された「源泉徴収票」を元に、退職の翌年に個人的に確定申告をする必要があります。

 

なお、一般の源泉徴収票と区別して、退職者の場合、特に「退職源泉」と呼ぶことがあります。この退職源泉にも、給与や社会保険料などは記載されていますが、一般の保険料や住宅ローン控除などは反映されていません。

 

<期限に間に合わなかった場合>

 

従業員が書類等の提出期限を守れなかった場合と、企業が税務署や市町村への提出期限を守れなかった場合とでは、その意味合いが大きく異なります。

 

  • 従業員が期限に間に合わなかった場合

 

この場合には、企業の都合で企業が設定した提出期限を、過ぎてしまったというだけのことです。年末調整関連業務を行う部門が急いで処理し、税務署や市町村への提出期限に間に合ったのなら、法的な問題は全く生じません。

 

しかし、従業員が提出期限を大幅に過ぎて書類等を提出してきた場合や、全く提出がないために、企業が税務署や市町村への提出期限を守れないようなときは、2月16日から3月15日の間に、従業員が個人的に税務署で確定申告をしなければなりません。

 

  • 企業が期限に間に合わなかった場合

 

こうした事態は絶対に避けたいところですが、数日の遅れなら、所轄の税務署へ事前に連絡しておけば、提出を待ってもらえるでしょう。

しかし、大幅に遅れた場合には、従業員ひとり一人に確定申告を行ってもらわなければなりません。

年末調整手続を完全に怠った場合には、脱税となってしまいます。ここまでくると、10年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金という罰則が適用される可能性があります。

 

<年末調整のやり直し>

 

従業員から書類を回収した後で、12月末日までに、その従業員についての事実関係が変わったことによって、一度終了した年末調整手続を、やり直す必要が生ずることもあります。

多いのは、本人や配偶者の出産、離婚などによって、扶養家族が増減した場合です。従業員に申告書などの提出を依頼する際に、年末までに本人や配偶者の出産などによって、扶養家族に変更を生じる可能性がある場合には、この旨申し出ていただくようにするとよいでしょう。

 

税務署への提出期限に間に合う場合には、年末調整をやり直すことが可能です。しかし、1月31日の期限に間に合わない場合には、その従業員が個人的に確定申告を行わなければなりません。

 

<年末調整後の確定申告>

 

企業が年末調整を終えた後に、従業員の方で、個人的に確定申告が必要なこともあります。この場合でも、企業側が年末調整を完了し、源泉徴収票を発行していれば、あとは個人責任ということになります。

 

よくあるのは、副業などで給与以外の収入があるときや、ふるさと納税など、年末調整では企業側で対応できない場合です。

 

<Workcloud(ワーククラウド)年末調整なら>

 

年末調整業務は、経験者ならそのボリュームの大きさを痛感していることと思います。スケジュール通りに進行しないことや、想定外のやり直しも発生します。しかもそれが、年末調整業務担当者のせいではなく、期限を守らない従業員や突発的に発生した業務への対応が原因であれば、大きなストレスを抱えてしまいます。

年末調整業務を紙ベースの手作業で行うことはお勧めできません。たとえその一部でも、電子化すれば業務効率が向上することは明らかでしょう。さらに、広範囲で一括して電子化を進めてこそ、生産性の向上が期待できるのです。

 

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STEP1 従業員が基本情報を入力

従業員ごとにマイページを発行。従業員は基本情報を入力していくだけで、提出ができます。

 

STEP2 人事・労務が登録情報を確認

従業員が入力した情報の確認を行います。不備や未提出のステータスの絞り込みや一斉修正依頼メールの送信が可能です

 

STEP3 人事・労務が承認

入力内容が確認出来たら、承認ボタンを押して完了

 

細かなデータの確認や源泉徴収票の自動作成ができ、提出も電子申告が可能です。自動計算だけではなく、源泉徴収票、給与支払報告書などその他の業務はデイフォースが対応するため、従来の年末調整とは比較にならない効率化が可能になります。

 

2023年10月27日

社会保険労務士 柳田 恵一

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