休職期間の通算規定
<休職制度の性質>
私傷病を理由とする休職制度は、一定の期間、傷病の回復を待ち、その間解雇を猶予するものです。
労働基準法などにも、休職制度を規制する規定はなく、休職制度の設計は、原則として企業の自由に任されています。
<同一の傷病による休職>
私傷病で休職し復職した従業員が、同一の傷病を理由に欠勤を続けている場合には、実質的に見て休職が継続していることも多く、再度の休職に制限を設けることには合理性があります。
就業規則には、「休職した従業員が復職後3か月以内に、同一の傷病を理由に欠勤した場合には、欠勤開始日より休職とし、復職前の休職期間と通算する」などの規定を置きます。
<同種の精神疾患による休職>
メンタルヘルス不調を理由として休職し、一度復職した後に、再度同種の病気で欠勤が続くケースが増加傾向にあります。
病状に大きな変化がないまま、病名だけが変わる状態です。
これも実質的に見て、当初の休職が継続している状態と見られることが多く、同種の精神疾患による休職に制限を設けることには合理性があります。
就業規則には、「休職した従業員が復職後3か月以内に、同種の精神疾患を理由に欠勤した場合には、欠勤開始日より休職とし、復職前の休職期間と通算する」などの規定を置きます。
<再度の休職を認めない規定>
再度の休職を認めない規定を置くことも考えられます。
「休職した従業員が復職後3か月以内に、同一の傷病を理由に欠勤した場合には休職としない」「休職した従業員が復職後3か月以内に、同種の精神疾患を理由に欠勤した場合には休職としない」といった規定になります。
これらの場合には、解雇予告の手順を踏んで解雇することになるでしょう。
しかし、当初の休職でごく短期間に回復し復職した場合には、実質的な解雇猶予期間が極端に短くなります。
こうした事態を想定して、「休職した従業員が復職後3か月以内に、同一の傷病を理由に欠勤した場合には休職としないことがある」「休職した従業員が復職後3か月以内に、同種の精神疾患を理由に欠勤した場合には休職としないことがある」という規定にしておいて、実情に応じた対応ができるようにしておくことも考えられます。
2023年2月10日
社会保険労務士 柳田 恵一
給与・勤怠・労務システムに関するご相談はこちら