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部下からのパワハラ

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部下からのパワハラ

 

<職場におけるパワーハラスメント>

職場におけるパワーハラスメントは、以下の3つの要素をすべて満たすものとされています。

 

【パワハラの3要素】

1.優越的な関係を背景とした

2.業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動により

3.就業環境を害すること(身体的若しくは精神的な苦痛を与えること)

 

<優越的な関係の意味>

上記の1.で「優越的な関係」というのは、必ずしも直属の上司である、役職が上であるといったことに限りません。

正社員がパート社員に対して優越的な関係に立つのは、契約形態の違いによる権限と責任の違いが根拠となっています。

ベテランのパート社員が、新人の正社員に対して優越的な関係に立つのは、業務経験の豊富さによるものです。

この他、専門知識の多寡、パソコンスキルの巧拙、職場での人気なども「優越的な関係」の根拠となりえます。

また、社長一人に対して、多数の社員が詰め寄る場合のように、人数の優位性から優越的な関係に立つ場合もあります。

 

<パワハラを行う部下の事情>

パワハラ行為に走る部下の中には「パワハラというのは、上司から部下に対して行われるものであり、部下から上司に対してパワハラが成立することはない」と誤解している人がいます。

パワハラの成立要件(3要素)についての理解が不十分なわけです。

こうした従業員がいる職場では、パワハラ防止のための教育が不十分であるといえます。

管理職のみを対象としてパワハラ防止教育を行っただけでは、部下から上司へのパワハラを防止できないだけでなく、一般社員がパワハラではない行為をパワハラとして問題視してしまうことも多発しかねません。

 

<パワハラを受ける上司の事情>

たとえ社内にパワハラ相談窓口が設置されていたとしても、部下からのパワハラについて相談する人は稀でしょう。

なにしろ、その部下を指導する立場にあるのですから、部下に対してパワハラ行為がいけないことを認識させ、止めるよう指導できる建前です。

こうしたことから、管理職としての能力が不足していると思われるのが嫌で、相談できずにいることが多いのです。

 

<実務の視点から>

年功序列的な昇進昇格や、360度評価を行っている職場では、部下から上司に対するパワハラが起こりやすいともいえます。

こうした職場では、全社員を対象とするパワハラ防止教育が必須となるでしょう。

 

2022年12月23日

社会保険労務士 柳田 恵一