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【監修付き】年末調整とは?確定申告との違いや流れなど完全解説

人事情報お役立ちブログ(毎週更新) 給与関連

個人事業主であれば、毎年2月中旬から3月中旬の間に、税務署に前年1月から12月の所得を申告して、所得税を支払います。この手続が確定申告です。

しかし、会社員の場合、自分で確定申告を行うのではなく、勤務先の企業が代わりに納税の手続をしています。この手続の一環として、年末調整が行われています。

 

<年末調整とは>

年末調整とは、会社など給与・賞与の支払者が、支払の都度、概算で源泉徴収していた所得税および復興特別所得税と、年末に集計した正確な所得税および復興特別所得税との差額を精算する手続のことをいいます。

 

●年末調整の目的

会社などが給与・賞与から源泉徴収する所得税および復興特別所得税は、その時々の金額や扶養親族の状況を前提としていますが、正確な収入の年額は年末にならなければ確定しませんし、扶養親族は12月31日時点での判断となります。

他にも生命保険などの保険料控除や、住宅ローン控除などもありますので、源泉徴収した金額と実際の金額との差額精算は、どうしても必要になるのです。

 

●年末調整の対象者

年末調整の対象となる人は、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を年末調整を行う日までに提出している一定の人です。

年末調整の対象となる人は、年末調整を12月に行う場合と、年の中途で行う場合とで違います。

 

・12月に行う年末調整の対象となる人

12月に行う年末調整の対象となる人は、会社などに1年を通じて勤務している人や、年の中途で就職し年末まで勤務している人(青色事業専従者を含む)です。

 

ただし、次の2つのいずれかに当てはまる人は除かれます。

(1)1年間に支払うべきことが確定した給与の総額が2,000万円を超える人

(2)災害減免法の規定により、その年の給与に対する所得税および復興特別所得税の源泉徴収について徴収猶予や還付を受けた人

 

・年の中途で行う年末調整の対象となる人

年の中途で行う年末調整の対象となる人は、次の5つのいずれかに当てはまる人です。

(1)海外支店等に転勤したことなどの理由により非居住者となった人

(2)死亡によって退職した人

(3)著しい心身の障害のために退職した人(退職した後に再就職をし給与を受け取る見込みのある人は除きます。)

(4)12月に支給されるべき給与等の支払を受けた後に退職した人

(5)いわゆるパートタイマーとして働いている人などが退職した場合で、本年中に支払を受ける給与の総額が103万円以下である人(退職後その年に他の勤務先から給与の支払を受ける見込みのある人は除きます。)

 

したがって、年の中途で退職した人で(1)から(5)以外の人は年末調整の対象となりません。

 

出典:国税庁ホームページ タックスアンサー No.2665 年末調整の対象となる人

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2665.htm

 

<年末調整と確定申告の違い>

では、年末調整と確定申告はどのように違うのでしょうか。

 

●手続の違い

年末調整は、会社など給与・賞与の支払者が、支払の都度、概算で源泉徴収していた所得税および復興特別所得税と、年末に集計した正確な所得税および復興特別所得税との差額を精算する手続です。

一方で確定申告は、個人事業主などが毎年2月中旬から3月中旬の間に、税務署に前年1月から12月の所得を申告して、所得税を支払う手続です。ここでは、差額精算のようなことは行われません。

 

●対象となる所得の違い

会社などの給与支払者が、年末調整を行っている従業員は、ほとんどの場合、個人で確定申告をする必要がありません。

しかし、副業・兼業で他に所得がある場合には、確定申告を行います。ただし、副業・兼業先での収入が年間20万円未満であれば、確定申告は不要です。

医療費控除など年末調整で対応できない控除を受ける場合は、会社で年末調整を受けたうえで、従業員本人が確定申告を行う必要があります。

住宅ローン控除については、初年度のみ確定申告が必要で、2回目以降は年末調整で控除できます。この他、確定申告でしか受けられない控除は以下の通りです。

 

・医療費控除

保険金などによる補填分を除く実質の医療費が10万円を超える場合や、対象となるOTC医薬品の購入費が12,000円を超える場合などは、医療費控除の対象となります。

 

・寄付金控除

国や地方公共団体への寄付、ふるさと納税、特定公益増進法人などへの寄付は、寄付金控除の対象となります。

 

・雑損控除

災害、盗難などによって資産に損害を受けた場合には、雑損控除の対象となります。

 

なお、従業員が副業や兼業によって収入を得ている場合、その契約内容によって確定申告の方法が変わります。

雇用契約であれば、給与所得として確定申告をします。

また、フリーランスなど個人事業主であれば、会社からの収入を給与所得、副業・兼業での収入を事業所得として確定申告を行います。給与所得の証明には、会社の年末調整済の源泉徴収票、事業所得の証明には、副業・兼業先の支払調書が必要です。

 

<年末調整手続の流れ>

年末調整の大まかな流れは、次のとおりです。

11月:従業員による申告

12月:年末調整の計算

1月:法定調書の作成・提出

しかし、それぞれに準備作業があり、後処理がありますから、ハードであることは確かです。

 

●必要な書類と書き方

「年末調整で必要な書類」には、従業員から提出してもらう書類と、企業から税務署、市町村に提出する書類があります。どの書類も、書き方に迷うかもしれません。

詳しくは、次の記事を参照してください。

【監修付き】年末調整で必要な書類は?書き方やスケジュールも解説

 

●手続のスケジュールと注意点

年末調整手続は、企業内ですべてが完結するものではありません。税務署、市町村といった外部への書類等の提出が必要となります。しかも、厳格な提出期限がありますから、しっかりとスケジュールを立て、これを守りながら進めなければなりません。

詳しくは、次の記事を参照してください。

【監修付き】年末調整の時期と期限は?退職者がいた場合の対応方法も解説

 

●訂正が必要な場合

年末調整手続は、年内最後の給与支給日の状況に従って進めるのですが、厳密には、12月末日の事実関係を反映させる必要があります。このため、従業員から書類を回収した後で、12月末日までに、その従業員についての事実関係が変わったことによって、一度終了した年末調整手続を、やり直す必要が生ずることもあります。

多いのは、本人や配偶者の出産、離婚などによって、扶養親族が増減した場合です。従業員に申告書などの提出を依頼する際に、年末までに本人や配偶者の出産などによって、扶養親族に変更を生じる可能性がある場合には、この旨申し出ていただくようにするとよいでしょう。

詳しくは、次の記事を参照してください。

【監修付き】提出済みの年末調整を訂正する方法は?期限や再計算方法も紹介

 

<年末調整での控除の種類と方法>

「控除」というのは「差し引く」という意味です。

納税額を減らせる控除には、「所得控除」と「税額控除」があります。

「所得控除」は、課税対象となる所得金額からの控除です。

「税額控除」は、税金から直接控除するものです。

 

●一般的な控除の例

所得控除は、企業で対応できるものが12種類、対応できないものが3種類あります。

企業が対応できる所得控除は次の12種類です。

  • 社会保険料控除
  • 小規模企業共済等掛金控除
  • 生命保険料控除
  • 地震保険料控除
  • 障害者控除
  • 寡婦控除
  • ひとり親控除
  • 勤労学生控除
  • 配偶者控除
  • 配偶者特別控除
  • 扶養控除
  • 基礎控除

 

税額控除は、所得税額から直接差し引かれる控除額のことです。

税額控除には主に22種類あります。

詳しくは、次の記事を参照してください。

【監修付き】給与計算での所得税の計算方法は?税率や控除そして気をつけるポイントも

 

●控除を受けるための条件

所得控除について、企業で対応できないものは、「●対象となる所得の違い」でご紹介した医療費控除、寄附金控除、雑損控除の3つで、従業員が確定申告を行う必要があります。

 

<Dayforce Workcloud(デイフォース ワーククラウド)システムなら>

年末調整業務のスケジュールはタイトなものです。税務署や市町村への書類の提出や源泉所得税の納付は待ったなしです。一方で、従業員からの申告書や添付書類の回収が進まずに焦ってしまうことがあるでしょう。

しかも、年末調整業務だけに専念できるわけではなく、他の業務と並行して行う必要があります。紙ベースでの手作業では効率が上がりません。その一部でも電子化すれば業務効率が向上することは明らかでしょう。さらに、広範囲で一括して電子化を進めてこそ、生産性の向上が期待できるのです。

 

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STEP1 従業員が基本情報を入力

従業員ごとにマイページを発行。従業員は基本情報を入力していくだけで、提出ができます。

 

STEP2 人事・労務が登録情報を確認

従業員が入力した情報の確認を行います。不備や未提出のステータスの絞り込みや一斉修正依頼メールの送信が可能です

 

STEP3 人事・労務が承認

入力内容が確認出来たら、承認ボタンを押して完了

 

細かなデータの確認や源泉徴収票の自動作成ができ、提出も電子申告が可能です。自動計算だけではなく、源泉徴収票、給与支払報告書などその他の業務はDayforceが対応するため、従来の年末調整とは比較にならない効率化が可能になります。

2024年2月19日

社会保険労務士 柳田 恵一

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